大切な方を亡くされたばかりの皆様に、心よりお悔やみ申し上げます。悲しみの中で、海外資産を含む相続税の申告という複雑な手続きに直面されていることと存じます。何から手をつければ良いのか、どこに相談すれば安心できるのか、多くの不安を抱えていらっしゃるかもしれません。
この手続きは確かに専門知識が必要ですが、すべてを一人で抱え込む必要はありません。この記事では、海外資産がある場合の相続税申告について、手続きの流れ、必要な書類、期限などを網羅的に解説し、皆様の負担を少しでも軽減できるよう努めます。焦らず、ご自身のペースで情報をご確認ください。
【PR】本記事にはプロモーションが含まれます。海外資産の相続税申告|国際課税の複雑な手続きをわかりやすく解説
海外に資産がある場合の相続税申告は、国内のみの相続に比べて複雑になりがちです。日本の相続税法だけでなく、国際的な課税ルールや、場合によっては海外の国の税法も関係してくるためです。しかし、基本的な流れとポイントを押さえれば、適切に対応することができます。
この記事でわかること / まず確認すべき相続税申告の期限
この記事では、以下のような内容を詳しく解説します。
- 海外資産を含む相続税申告の具体的な手順
- 申告に必要な書類と準備のポイント
- 各種手続きの期限と注意点
- よくある疑問や失敗例、その対処法
- 専門家への依頼を検討する際の費用目安と選び方
まず、最も重要な期限についてです。相続税の申告期限は、原則として「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」です。この期限内に申告と納税を完了させる必要があります。この期間は、海外資産の調査や評価に時間がかかることを考えると、決して長くはありません。早めに全体の流れを把握し、準備を進めることが大切です。

STEP別手順|海外資産を含む相続税申告の流れ
海外資産を含む相続税の申告は、通常の相続税申告に加えて、海外資産特有の調査や評価、国際課税に関する検討が必要になります。ここでは、その全体的な流れをSTEPごとに解説します。
STEP1: 相続開始の把握と相続人の確定(目安:数日〜1ヶ月)
被相続人が亡くなったことを知ったら、まず相続が開始したことを把握します。次に、誰が相続人になるのかを確定させる必要があります。戸籍謄本などを収集し、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍をたどって、法定相続人を特定します。この際、海外に居住している相続人がいる場合は、その国の公的書類が必要になることもあります。
STEP2: 相続財産の調査と評価(海外資産含む)(目安:1ヶ月〜3ヶ月)
相続財産は、国内資産と海外資産に分けて調査し、評価を行います。
国内資産の調査・評価
預貯金、不動産、株式、自動車、貴金属、生命保険金などを洗い出し、それぞれ評価額を算出します。
海外資産の調査・評価
海外預金 相続 手続きでは、被相続人が海外に保有していた銀行口座、証券口座、不動産、株式、年金、退職金などを特定し、残高証明書や登記簿謄本、評価証明書などを現地の金融機関や公的機関から取り寄せます。海外不動産 相続 評価は、現地の不動産鑑定士に依頼する必要がある場合もあります。この際、現地の言語でのやり取りや、郵送に時間がかかることがあるため、早めの着手が必要です。
債務の調査
借入金や未払金など、被相続人が負っていた債務も調査します。海外での借金も対象となります。
STEP3: 遺産分割協議と遺言書の確認(目安:1ヶ月〜3ヶ月)
遺言書がある場合は、その内容を確認します。遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、どの財産を誰が相続するかを話し合って決定します。この協議の結果は「遺産分割協議書」として書面に残します。
専門家によると、遺言書は「全財産を長男に相続させる」といった「全財産を〇〇に」という記述だけでは不十分なケースがあります。 たとえ有効な遺言書であっても、他の相続人の遺留分(いりゅうぶん:兄弟姉妹以外の法定相続人に保障された最低限の相続割合)を侵害する内容であった場合、遺留分侵害額請求を受けるリスクがあるためです(民法1042条〜1049条)。遺言書作成時には、必ず遺留分を考慮した内容にすることが実務上の鉄則とされています。遺言書の内容に不安がある場合や、遺留分を考慮した遺産分割協議を進める場合は、弁護士への相談が安心です。
STEP4: 相続税額の計算と外国税額控除の適用(目安:1ヶ月〜2ヶ月)
相続財産の総額から基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引いた課税遺産総額に対し、相続税額を計算します。
海外資産 相続税 課税範囲は、相続人の居住地によって異なります。一般的に、日本に居住する相続人が日本の被相続人から相続した場合、海外資産も日本の相続税の課税対象となります。
外国税額控除
海外にある財産について、日本の相続税と現地の相続税(またはこれに類する税金)が二重に課税される場合があります。このような二重課税を避けるため、「外国税額控除」という制度があります。外国税額控除 相続税は、一定の要件を満たせば、海外で支払った税金を日本の相続税額から差し引くことができる制度です。この控除の適用を受けるためには、現地の納税証明書などが必要となります。
STEP5: 相続税の申告と納税(目安:数日〜1ヶ月)
計算した相続税額を、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に税務署に申告し、納税します。申告書には、海外資産に関する書類や外国税額控除の適用を受けるための書類などを添付する必要があります。
海外資産の相続税申告に必要な書類チェックリスト
海外資産を含む相続税の申告には、多くの書類が必要となります。国内資産に関する書類に加え、海外資産に関する書類の準備も必要です。これらの書類は、現地の言語で記載されている場合が多く、翻訳が必要になることもあります。

□ 国内資産に関する書類
- □ 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで連続したもの)
- □ 相続人全員の戸籍謄本、住民票
- □ 遺言書(ある場合)
- □ 遺産分割協議書(遺言書がない場合)
- □ 預貯金残高証明書(死亡日現在)
- □ 株式等の評価証明書
- □ 不動産の登記事項証明書、固定資産税評価証明書
- □ 生命保険金の支払通知書
- □ 死亡保険金請求書(写し)
□ 海外資産に関する書類
- □ 海外預金口座の残高証明書(死亡日現在、現地の銀行発行)
- □ 海外株式等の評価証明書(現地の証券会社発行)
- □ 海外不動産の登記簿謄本、評価証明書(現地の公的機関発行)
- □ 海外で支払った相続税等の納税証明書(外国税額控除適用の場合)
- □ 各種契約書(信託契約、年金契約など、海外資産に関するもの)
□ その他の提出書類と注意点
- □ 相続税申告書(第一表〜第十五表など)
- □ 添付書類台紙
- □ 国外財産調書(後述)
国外財産調書 5000万円について
日本の居住者で、その年の12月31日において海外に5,000万円を超える財産を保有している場合、翌年の3月15日までに「国外財産調書」を税務署に提出する義務があります。相続税申告とは別に、この調書の提出義務があるかどうかも確認が必要です。これは相続税の申告とは別の制度ですが、海外資産の把握という意味で密接に関連します。
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期限カレンダー|海外資産の相続税申告で押さえるべき重要日程
海外資産の相続税申告では、さまざまな期限が設けられています。特に重要な期限を把握し、計画的に準備を進めることが大切です。

| 手続き名 | 期限 | 窓口 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 死亡届の提出 | 死亡を知った日から7日以内 | 市区町村役場 | 日本国内で死亡した場合 |
| 遺言書の検認請求 | 遺言書の保管者が遺言を発見した後、遅滞なく | 家庭裁判所 | 自筆証書遺言の場合。公正証書遺言は不要。 |
| 相続放棄・限定承認の申述 | 相続開始を知った日から3ヶ月以内 | 家庭裁判所 | 負債が多い場合などに検討。 |
| 準確定申告 | 相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内 | 税務署 | 被相続人の所得税申告。 |
| 相続税の申告・納税 | 相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内 | 税務署 | 最も重要な期限。 |
| 国外財産調書の提出 | 毎年12月31日時点で5,000万円超の国外財産がある場合、翌年3月15日まで | 税務署 | 相続税申告とは別の義務。 |
専門家によると、相続放棄の期限は「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」とされていますが、これは死亡日ではなく、相続人が被相続人の死亡を知った日が起算点となります(民法915条)。 また、借金の存在を知らなかった場合など、特別な事情があれば、借金の存在を知った日から起算できるケースもあり、期限を過ぎても放棄できる場合があります(民法919条、最高裁昭和59年4月27日判決)。「3ヶ月を過ぎたからもう放棄できない」と諦めず、事情がある場合は早めに弁護士にご相談ください。3ヶ月の伸長申請(期間延長の申し立て)も家庭裁判所で行うことが可能です。
海外資産相続税申告でよくある失敗と適切な対処法
海外資産の相続税申告は、国内のみの相続に比べて複雑なため、思わぬ落とし穴にはまることがあります。ここでは、よくある失敗例とその対処法を紹介します。
課税範囲の誤解と国外財産調書の提出漏れ
失敗例: 「海外にある財産だから日本の相続税はかからないだろう」と誤解し、申告を怠ってしまうケースがあります。また、国外財産調書の提出義務を知らず、提出を忘れてしまうこともあります。
対処法: 日本の相続税法における海外資産 相続税 課税範囲は、相続人や被相続人の居住地、国籍によって細かく定められています。基本的には、日本に居住する相続人が日本の被相続人から相続した場合は、海外資産も日本の相続税の課税対象となります。ご自身のケースが課税対象となるか、税理士などの専門家に確認することが重要です。また、5,000万円を超える国外財産がある場合は、相続税申告とは別に国外財産調書の提出義務があることを忘れずに、毎年確認してください。
相続放棄の期限超過
失敗例: 被相続人に海外での多額の借金があったことを後から知り、相続放棄を検討したものの、3ヶ月の期限を過ぎてしまっていたというケース。
対処法: 前述の通り、相続放棄の期限は「相続開始を知った日から3ヶ月」であり、借金の存在を知らなかったなどの特別な事情があれば、期限後でも放棄が認められる可能性があります。諦めずに、速やかに弁護士に相談し、状況を説明してください。
遺言書の不備と遺留分侵害
失敗例: 被相続人が認知症を患っていた時期に作成された遺言書があり、その有効性が疑われ、遺産分割でトラブルになるケース。また、遺言書の内容が特定の相続人に有利すぎ、他の相続人から遺留分侵害額請求を受けるケース。
対処法: 専門家によると、認知症の親が作った遺言書であっても、作成時点に遺言能力(意思能力)があれば有効とされます(民法963条)。 「認知症=遺言無効」ではなく、軽度認知症であれば意思能力が認められるケースも多いです。ただし、トラブル防止のため、遺言作成時には医師の診断書やカルテを保存しておくことが推奨されます。公正証書遺言であれば、公証人が意思確認プロセスを経るため、有効性が高まります。
遺言書の内容が遺留分を侵害している場合、遺留分侵害額請求は避けられないこともあります。この場合も弁護士に相談し、適切な対応を検討しましょう。
外国税額控除の適用漏れ
失敗例: 海外で相続税に相当する税金を支払ったにもかかわらず、日本の相続税申告時に外国税額控除の申請を忘れてしまい、二重課税になってしまうケース。
対処法: 外国税額控除 相続税は、二重課税を防ぐための重要な制度です。海外で税金を支払った場合は、必ずその証明書を取得し、日本の相続税申告時に適用を申請してください。適用要件や計算方法が複雑なため、国際税務に詳しい税理士に相談することをお勧めします。
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海外資産の相続税申告を専門家に代行依頼する場合
海外資産の相続税申告は、その複雑さから専門家への依頼を検討する方も多いでしょう。特に、国際税務の知識や海外とのやり取りが必要なため、税理士や弁護士のサポートが不可欠です。
専門家を選ぶポイントと依頼の流れ
専門家を選ぶポイント
- 国際税務の経験: 海外資産の相続税申告の実績が豊富か。
- 海外ネットワーク: 現地の専門家(弁護士、会計士など)との連携があるか。
- コミュニケーション: 丁寧な説明と迅速な対応をしてくれるか。
- 費用体系の明確さ: 見積もりが明確で、追加費用が発生する可能性について説明があるか。
依頼の流れ
- 初回相談: 状況を説明し、必要な手続きや費用について概算を確認します。
- 見積もり・契約: 依頼内容に基づいた正式な見積もりと契約を締結します。
- 情報提供: 専門家が必要とする書類や情報を収集し、提供します。
- 調査・評価・申告: 専門家が海外資産の調査、評価、税額計算、申告書の作成、税務署への提出を行います。
- 納税: 最終的な納税額が確定したら、納税を行います。
費用目安と内訳
海外資産を含む相続税申告の専門家費用は、相続財産の総額、海外資産の種類や数、手続きの複雑さによって大きく異なります。ここでは一般的な費用目安を示しますが、必ず複数の専門家から見積もりを取り、比較検討することをお勧めします。
| 項目 | 費用目安(税抜) | 備考 |
|---|---|---|
| 税理士報酬(相続税申告) | 相続財産総額の0.5%〜1.5%程度 | 海外資産の評価や国際税務の対応により加算される場合が多い |
| 弁護士報酬(遺産分割協議、遺留分請求など) | 協議内容や争いの有無による(着手金+成功報酬) | 遺言書の有効性や遺留分問題など、法律的な争いがある場合 |
| 海外での手続き費用 | 数万円〜数十万円以上 | 現地の評価士報酬、銀行手数料、郵送費、翻訳費用など |
| その他実費 | 数万円〜 | 戸籍謄本取得費用、交通費、通信費など |
※上記の費用はあくまで参考値・目安です。地域・業者・依頼内容によって大きく異なります。
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よくある質問
Q1: 海外に住んでいる場合でも日本の相続税はかかりますか?
A: 相続税の課税範囲は、被相続人と相続人の住所や国籍によって異なります。例えば、被相続人が日本に住んでいて、相続人が海外に住んでいる場合でも、日本の相続税の課税対象となることがあります。また、相続人が日本に一時的に住んでいても、過去10年間の居住歴などにより「非居住者」とみなされ、課税範囲が限定されるケースもあります。ご自身の状況がどのパターンに該当するか、税理士にご確認ください。
Q2: 国外財産調書はどのような場合に提出が必要ですか?
A: 国外財産調書は、毎年12月31日時点で、海外に5,000万円を超える財産を保有している日本の居住者に提出義務があります。これは相続税の申告とは別の制度ですが、相続が発生した際には、この調書が海外資産の把握に役立つことがあります。提出を怠ると罰則の対象となる場合があるため注意が必要です。
Q3: 海外不動産の評価方法はどうなりますか?
A: 海外不動産 相続 評価は、一般的に現地の評価基準に基づいて行われます。現地の不動産鑑定士による評価書を取得したり、現地の固定資産税評価額や過去の取引事例などを参考にしたりすることがあります。日本の相続税法に則って評価額を円に換算しますが、為替レートの変動も考慮する必要があります。評価が難しい場合は、国際税務に詳しい税理士に相談してください。
Q4: 外国税額控除とは何ですか?
A: 外国税額控除 相続税とは、海外にある財産について、その国で相続税に相当する税金を支払った場合、日本の相続税額からその海外で支払った税額を差し引くことができる制度です。これにより、国際的な二重課税を防ぐことができます。控除の適用を受けるためには、現地の納税証明書など、必要書類を揃えて日本の税務署に提出する必要があります。控除額の計算には複雑なルールがあるため、専門家のサポートが不可欠です。
まとめ|海外資産の相続税申告は専門家への相談が安心
海外資産を含む相続税の申告は、国内の相続に比べて手続きが複雑で、専門的な知識が求められます。特に、海外資産の調査・評価、国際的な課税範囲の判断、外国税額控除の適用などは、専門家でなければ難しい部分が多くあります。
悲しみの中で、これらの複雑な手続きをすべて一人で抱え込む必要はありません。専門家を頼ることで、手続きをスムーズに進め、思わぬミスやトラブルを避けることができます。

海外資産の相続税申告は、多くの専門知識と時間が必要です。一人で抱え込まず、まずは専門業者に相談してみるだけでも、具体的な手続きのイメージや費用感がつかめ、焦らず準備を進めることができます。
【関連】 相続税に関する基礎知識はこちらの記事で詳しく解説しています:相続税の基礎知識と対策
この記事の監修について
本記事は「お葬式.info 編集部」が、行政書士・司法書士・葬儀業界経験者・僧侶を含む監修者チームの助言のもと、公的統計・法令・専門書を根拠に作成しています。個別のケースについては、必ず専門家にご相談ください。編集方針・監修者一覧は編集ポリシーをご確認ください。
※本記事は2026年7月時点の情報に基づいています。費用・制度は変更される場合がありますので、最新情報は各専門家・行政機関へご確認ください。
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