公正証書遺言 自筆証書遺言 どちらがよい
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公正証書遺言 自筆証書遺言 どちらがよい
(読了目安:約15分)
大切なご家族のこと、そしてご自身の未来を考えるとき、「遺言書」という選択肢が頭をよぎるかもしれません。しかし、遺言書にはいくつかの種類があり、どれを選べば良いのか迷ってしまうのは当然のことです。特に「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」はよく耳にするものの、それぞれの違いや、ご自身の状況に合った選び方がわからず、不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このページをご覧になっているあなたは、きっとご家族への深い愛情や、残される方々への配慮から、この大切なテーマと向き合っていらっしゃるのだと思います。そのお気持ちに心から敬意を表します。遺言書について考えることは、決して「縁起が悪いこと」ではなく、大切な人への最後の贈り物です。どうか、焦らず、ご自身のペースで読み進めてください。
終活大全では、そのようなあなたの不安を少しでも和らげ、安心して次のステップに進めるよう、公正証書遺言と自筆証書遺言について、それぞれのメリット・デメリット、費用、手続き方法などを整理しました。どちらか一方を押し付けるのではなく、あなたの状況に寄り添いながら、一緒に考えていきましょう。迷うのは当然です。大切な決断だからこそ、迷って当然なのです。

この記事でわかること
- 公正証書遺言と自筆証書遺言、それぞれの基本的な特徴と違い
- 遺言書作成にかかる具体的な費用と、長期的な視点でのコスト
- あなたにとって、どちらの遺言書が向いているかの判断基準
- 遺言書作成後の変更方法や、後悔しないための確認ポイント
- 専門家監修による、遺言書にまつわるよくある疑問とその解決策
公正証書遺言と自筆証書遺言の概要
遺言書には大きく分けて「普通方式遺言」と「特別方式遺言」があります。一般的に利用されるのは普通方式遺言で、その中でも代表的なものが「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」です(民法第967条)。
出典:e-Gov 法令検索「民法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
まずは、それぞれの基本的な特徴をあなたのために整理しました。
公正証書遺言とは
公正証書遺言とは、公証役場(こうしょうやくば)で公証人(法律の専門家である国家公務員)が、遺言者の意思に基づいて作成する遺言書です(民法第969条)。証人2名以上の立ち会いのもと、遺言者が口頭で意思を伝え、公証人がそれを文書にまとめます。
主なメリット
- 高い法的有効性: 公証人が関与するため、形式上の不備で無効になるリスクが極めて低いとされています。
- 安全な保管: 原本が公証役場で保管されるため、紛失・偽造・変造の心配がほとんどありません。
- 検認(けんにん)不要: 相続開始後に家庭裁判所で行う「遺言書の現状確認手続き」が不要なため、相続手続きをスムーズに進めやすくなります。
- 専門家によるチェック: 公証人が内容の法的有効性や実現可能性を確認するため、相続人間の争いを未然に防ぎやすい傾向があります。
主なデメリット
- 費用がかかる: 公証人手数料や証人への謝礼などが発生します。
- 手間がかかる: 公証役場への出向と、証人2名の手配が必要です。
- 内容の完全な秘密保持が難しい: 証人が遺言内容を知ることになるため、完全な秘密作成はできません。
自筆証書遺言とは
自筆証書遺言とは、遺言者自身が全文・日付・氏名を自筆で書き、押印して作成する遺言書です(民法第968条)。手軽に作成できる点が大きな特徴です。
2020年7月からは、法務局で保管してもらう「自筆証書遺言書保管制度」も始まり、紛失や偽造のリスクを大幅に軽減できるようになりました。
主なメリット
- 費用がほとんどかからない: 原則として費用は不要です(法務局保管制度の利用時は手数料3,900円程度)。
- 手軽に作成できる: いつでも、一人で作成できます。
- 内容の秘密保持が可能: 誰にも知られずに作成・保管できます。
- 変更・撤回が容易: ご自身の意思でいつでも内容を変更・撤回できます。
主なデメリット
- 形式不備のリスク: 法律で定められた要件(全文自筆・日付・氏名・押印)をひとつでも欠くと無効になる場合があります。
- 紛失・偽造・変造のリスク: 自宅保管の場合、紛失や第三者による改ざんのリスクがあります。
- 検認が必要な場合がある: 法務局で保管されていない遺言書は、相続開始後に家庭裁判所での検認手続きが必要になります。
- 専門家によるチェックがない: 遺留分(いりゅうぶん=相続人に法律上保障された最低限の取り分)の侵害など、後々トラブルになりうる内容でも、作成時には気づきにくい場合があります。
【関連】自筆証書遺言の書き方・無効にならないための注意点を詳しくはこちら
費用比較
遺言書を作成する上で、費用はとても重要な検討要素です。ここでは、それぞれの費用について整理しました。あくまで目安・参考値であり、遺言の内容、財産の価額、地域、依頼する専門家によって大きく異なる場合があります。

費用比較表
| 遺言書の種類 | 項目 | 費用目安(参考値) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 公正証書遺言 | 公証人手数料 | 数千円〜数十万円程度 | 財産額・受遺者数により変動。財産が100万円以下は5,000円、1,000万円以下は17,000円など(地域差あり) |
| 証人報酬 | 1名あたり5,000円〜15,000円程度 | 証人を依頼する場合のみ発生 | |
| 弁護士・司法書士費用 | 10万円〜30万円程度 | 依頼する場合のみ。内容・財産額により変動 | |
| 自筆証書遺言(自宅保管) | 用紙・筆記具代 | 数百円程度 | 基本的に費用なし |
| 弁護士・司法書士費用 | 数万円〜10万円程度 | 依頼する場合のみ | |
| 検認手続き費用 | 実費数百円〜数千円程度 | 相続開始後に家庭裁判所へ申し立てる場合に発生 | |
| 自筆証書遺言(法務局保管) | 保管手数料 | 3,900円(1回のみ) | 法務局での「自筆証書遺言書保管制度」利用時 |
| 弁護士・司法書士費用 | 数万円〜10万円程度 | 依頼する場合のみ |
費用の長期的な視点での考え方
目先のコストだけでなく、長期的な視点で考えることも大切です。
- 自筆証書遺言(自宅保管)の場合: 作成費用はほぼかかりませんが、相続発生後に家庭裁判所での検認手続きが必要です。また、形式不備や遺留分侵害などが原因で相続トラブルに発展した場合、後日多額の弁護士費用が生じるリスクもあります。
- 公正証書遺言の場合: 作成費用はかかりますが、検認が不要で法的有効性が高いとされています。相続手続きがスムーズに進みやすく、結果として相続人の時間的・精神的・経済的な負担を軽減できる場合があります。
「安い方が良い」とは一概には言えません。財産の規模や相続人の関係性なども踏まえて、総合的に判断することをおすすめします。
徹底比較表
公正証書遺言と自筆証書遺言を、多角的な視点で比較しました。
| 比較項目 | 公正証書遺言 | 自筆証書遺言(自宅保管) | 自筆証書遺言(法務局保管) |
|---|---|---|---|
| 作成費用 | 数万円〜数十万円程度(財産額・地域差あり) | ほぼ無料 | 3,900円程度(保管手数料のみ) |
| 作成の手間 | 公証役場への出向・証人2名の確保・書類準備が必要 | 自宅で一人で作成可能 | 自作後、法務局への申請が必要 |
| 作成期間の目安 | 1〜2ヶ月程度(公証役場との調整含む) | 数時間〜数日程度 | 数日〜1ヶ月程度(申請手続き含む) |
| 保管方法 | 公証役場が原本を保管 | 自宅等で自己管理 | 法務局が原本を保管 |
| 紛失・偽造リスク | ほぼなし | 高い | ほぼなし |
| 形式不備リスク | ほぼなし(公証人がチェック) | 高い(無効になる場合あり) | 低い(法務局が形式確認) |
| 内容の秘密保持 | 困難(証人が内容を知る) | 可能 | 可能 |
| 検認の要否 | 不要 | 必要 | 不要 |
| 法的安定性 | 非常に高い | やや低い | 中程度(内容面のチェックはなし) |
| 変更・撤回 | 新たに公正証書遺言を作成する必要あり | 比較的容易 | 比較的容易(法務局への届出が必要) |
| こんな方に向いている | 財産が多い・相続関係が複雑・確実に有効にしたい方 | 財産がシンプル・試しに作成したい方 | 費用を抑えつつ安全に保管したい方 |
出典:e-Gov 法令検索「民法(第967条〜第975条)」
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
向いている人・向いていない人
どちらの遺言書が「あなたに合っているか」を、状況別に整理しました。
公正証書遺言が向いている方
- 財産の種類や金額が多く、相続関係が複雑な方
- 相続人同士の関係が複雑で、将来的なトラブルが心配な方
- 「遺言書を確実に有効にしたい」という安心感を重視する方
- 自筆で全文を書くことが身体的に難しい方(口述で作成できるため)
- 子どもや家族に手間をかけたくない方(検認不要のため)
公正証書遺言が向いていない方
- 費用をできる限り抑えたい方
- 証人に内容を知られたくない方
- 財産がシンプルで、相続関係も明快な方
自筆証書遺言が向いている方
- 費用をできる限り抑えたい方
- 誰にも知られずに、自分のペースで作成したい方
- 財産の構成がシンプルで、相続人も少ない方
- まずは「遺言書を書いてみる」試みとして始めたい方
- 内容をこまめに見直し・変更する可能性がある方
自筆証書遺言が向いていない方
- 手書きが困難な方(全文自筆が要件のため)
- 法的な有効性に不安がある方
- 相続関係が複雑で、確実に意思を実現したい方
【関連】遺言書の種類と選び方・専門家への相談ポイントを詳しくはこちら
選び方フロー
「結局、自分はどちらを選べばいいの?」という方のために、簡単な選び方フローを用意しました。あくまで参考としてご活用ください。
スタート:遺言書を作成したい
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Q1. 財産が複数種類あるか、または相続人関係が複雑か?
├─ YES → Q2へ
└─ NO → Q3へ
Q2. 費用がかかっても「確実に有効な遺言書」を残したいか?
├─ YES → ✅ 公正証書遺言がおすすめです
└─ NO → Q3へ
Q3. 費用をできる限り抑えたいか?
├─ YES → Q4へ
└─ NO → ✅ 公正証書遺言も検討してみましょう
Q4. 遺言書を安全に保管したいか(紛失・偽造が心配)?
├─ YES → ✅ 自筆証書遺言(法務局保管制度)がおすすめです
└─ NO → ✅ 自筆証書遺言(自宅保管)でも可能ですが、
専門家への確認をおすすめします
このフローはあくまで目安です。ご自身の状況や気持ちに合わせて、専門家への相談も組み合わせながら判断されることをおすすめします。
実際に選んだ方の声(参考)
※以下は複数のご相談事例をもとにしたモデルケースです。特定の個人・事例ではありません。
Aさん(70代・女性)公正証書遺言を選んだケース
「子どもが3人いて、それぞれに渡したい財産が違いました。自筆証書遺言を試しに書いてみたのですが、書き方が正しいか不安で…。弁護士の先生に相談したところ、公正証書遺言をすすめられました。費用はかかりましたが、『これで間違いない』という安心感が得られたのが一番の理由です。子どもたちに迷惑をかけたくなかった。」
Bさん(60代・男性)自筆証書遺言(法務局保管)を選んだケース
「財産は自宅と預金だけで、妻に全部渡すつもりでした。公正証書遺言は費用が高いと聞いて、自筆証書遺言にしました。法務局の保管制度を使えば、紛失の心配もないと聞いて安心しました。書き方は弁護士事務所の無料相談で教えてもらいました。」
Cさん(80代・女性)当初、自筆証書遺言→後に公正証書遺言に変更したケース
「最初は自筆証書遺言を自分で書いたのですが、体が不自由になってきて『書き直せなくなったらどうしよう』と不安になりました。結局、公証役場で公正証書遺言に作り直しました。口で話すだけで作ってもらえるので、体が辛くても大丈夫でした。」
よくある質問(FAQ)
Q1. 公正証書遺言と自筆証書遺言、どちらが「法的に有効」ですか?
A. どちらも法律上有効な遺言書です(民法第967条)。ただし、自筆証書遺言は形式要件(全文自筆・日付・氏名・押印)をひとつでも欠くと無効とみなされる場合があります。公正証書遺言は公証人が関与するため、形式不備による無効のリスクは極めて低いとされています。どちらを選んでも「法的に有効な遺言書」を残すことができますが、内容面での注意は別途必要です。
出典:e-Gov 法令検索「民法」https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
Q2. 遺言書を作成した後で、内容を変更することはできますか?
A. はい、できます。遺言者はいつでも遺言の内容を変更・撤回することが可能です(民法第1022条)。自筆証書遺言の場合は、改めて新しい遺言書を作成することで変更できます。公正証書遺言の場合も、新たに公正証書遺言を作成することで前の遺言書を撤回・変更できます。なお、日付が新しい遺言書が有効とされますので、複数の遺言書が存在する場合は注意が必要です。
Q3. 「証人」とは誰に頼めばよいですか?また、頼めない人はいますか?
A. 公正証書遺言の証人には、遺言に関して利害関係のない成人の方にお願いします。具体的には、友人・知人・司法書士・弁護士などが一般的です。一方、以下の方は証人になれません(民法第974条):
- 未成年者
- 推定相続人(遺言者の相続人になり得る人)
- 遺贈を受ける人(受遺者)
- それらの配偶者や直系血族
- 公証人の配偶者や関係者
証人の手配が難しい場合は、公証役場や弁護士・司法書士事務所に相談すると、紹介してもらえる場合もあります。
Q4. 自筆証書遺言の「法務局保管制度」を利用すると、検認は不要になりますか?
A. はい、法務局(法務大臣の指定する法務局)に保管された自筆証書遺言については、相続開始後の家庭裁判所での検認手続きが不要となります(法務局における遺言書の保管等に関する法律第11条)。ただし、法務局での保管は「形式的なチェック」のみであり、遺言内容が法的に有効かどうか(遺留分を侵害していないかなど)は確認されません。内容の法的有効性については、専門家への相談も検討されることをおすすめします。
Q5. 公証役場に行けない場合(体が不自由など)はどうすればよいですか?
A. 公証人に自宅や病院、介護施設などへ出張してもらうことができる場合があります(出張公証)。ただし、出張費用が別途かかる場合があります(距離・時間による加算など)。まずはお近くの公証役場にご相談ください。体の不自由な方でも公正証書遺言を残せる可能性がありますので、一人で抱え込まず、まずは問い合わせてみましょう。
Q6. 遺言書がなくても、家族で話し合えばよいのではないですか?
A. もちろん、家族間での対話はとても大切です。ただし、遺言書がない場合、相続人全員の同意がなければ遺産分割の手続きが進まないこともあります(遺産分割協議)。相続人の一人でも意見が合わなかったり、行方不明だったりすると、手続きが長期化することも。遺言書は「家族への愛情のカタチ」のひとつとして、残された方々の負担を軽くする手段にもなります。
まとめ
あなたのために、公正証書遺言と自筆証書遺言の違いを整理しました。
| ポイント | 公正証書遺言 | 自筆証書遺言 |
|---|---|---|
| 費用 | 数万円〜数十万円程度(地域・財産額により異なる) | ほぼ無料〜3,900円程度 |
| 安全性・法的安定性 | 非常に高い | 保管制度利用で向上 |
| 手軽さ | やや手間がかかる | 気軽に作成しやすい |
| 検認 | 不要 | 法務局保管なら不要 |
| こんな方に | 確実性・安心感を重視する方 | 費用を抑えたい・秘密にしたい方 |
どちらが「正解」ということはありません。大切なのは、「遺言書を残そうと思った」そのお気持ちと、あなたの状況に合った方法を選ぶことです。
一人で悩まなくて大丈夫です。専門家への相談をうまく活用しながら、ご自身のペースで進めていただければと思います。
専門家への相談案内
遺言書の作成は、「どちらが自分に合っているか」の判断から始まり、内容の検討、作成、保管まで、さまざまな場面で専門家のサポートがあると安心です。
相談できる専門家の例:
- 弁護士: 遺言内容の法的有効性の確認、遺留分問題、相続トラブルの予防に強い
- 司法書士: 不動産の相続登記など、手続き面のサポートに強い
- 公証人(公証役場): 公正証書遺言の作成窓口。まずは最寄りの公証役場に問い合わせてみましょう
- 行政書士: 遺言書作成のサポートや相続手続き全般に対応している場合があります
初めての相談が不安な方は、無料相談を提供している窓口を探してみてください。「一人じゃない」という安心感が、きっと次の一歩を踏み出す力になります。
【関連】相続・遺言の専門家の選び方と相談前に準備しておくことを詳しくはこちら
> ※費用・価格はあくまで参考値です。地域・業者・個別の状況によって大きく異なります。必ず複数の業者・専門家に確認してください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別案件については弁護士・税理士・葬儀の専門家にご相談ください。
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