子供がいない 相続 どうなる
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子供がいない場合、相続はどうなる?法定相続人・手続き・備えまで丁寧に解説
(読了目安:約15分)
今、大切な方を亡くされ、深い悲しみの中にいらっしゃるかもしれません。あるいは、ご自身や配偶者の将来について、漠然とした不安を抱えてこのページをご覧になっている方もいるでしょう。
「子供がいない場合、相続はどうなるのだろう」
「夫婦だけだと、どこに財産が行くのだろう」
「何を、誰に、相談すればいいのだろう」
どうか焦らないでください。このページでは、お子さんがいらっしゃらないご家庭の相続について、一つひとつ一緒に確認していきます。悲しみや混乱の中で、すべてを一度に理解しようと無理をしないでください。まずは、できることから少しずつ始めていきましょう。

子供がいない場合の相続、まず今日やること3つ
大切な方を亡くされた直後は、心身ともに疲弊していることと思います。たくさんの情報に圧倒され、何から手をつければいいか分からないのは当然のことです。
まずは、今日中にできること、あるいは知っておくと少し安心できることを3つだけ確認しましょう。
① 「誰が相続人か」を大まかに把握する
お子さんがいらっしゃらない場合、配偶者(夫または妻)が必ず相続人になります。次に、亡くなった方の親や兄弟姉妹が相続人になる可能性があります。まず「家族関係がどうなっているか」を頭の中で整理するだけでも、その後の手続きがぐっと楽になります。
② 遺言書があるかどうかを確認する
遺言書(いごんしょ)の有無は、相続の進め方を大きく左右します。自宅の金庫・引き出し・タンスの中、公証役場(こうしょうやくば)や法務局(ほうむきょく)に遺言書が保管されていないか確認してみてください。遺言書があれば、その内容が優先されます。
③ 焦って財産を動かさない
相続人が確定する前に、預金を引き出したり財産を処分したりすると、後のトラブルの原因になる場合があります。まずは現状を保ちながら、少しずつ専門家に相談する準備を進めていきましょう。
子供がいない相続の基本:法定相続人(ほうていそうぞくにん)とは
法定相続人とは、民法(みんぽう)によって定められた、相続する権利を持つ人のことです。
(出典:e-Gov 法令検索 民法第887条〜900条)
配偶者は常に相続人
配偶者(結婚している夫または妻)は、常に相続人となります。ただし、内縁関係(事実婚)の場合は法定相続人にはなりません。
子供がいない場合の相続順位
子供がいない場合、法定相続人の優先順位は以下のようになります。
| 順位 | 相続人 | 配偶者との相続割合の目安 |
|---|---|---|
| 第1順位 | 子・孫(直系卑属) | 子がいれば:配偶者1/2・子1/2 |
| 第2順位 | 父母・祖父母(直系尊属) | 親がいれば:配偶者2/3・親1/3 |
| 第3順位 | 兄弟姉妹・甥・姪 | 兄弟姉妹がいれば:配偶者3/4・兄弟1/4 |
子供がいない場合は、第1順位が存在しないため、第2順位(親・祖父母)へ、第2順位も存在しない場合は第3順位(兄弟姉妹)へと移ります。
例:Aさん(60歳)が亡くなりました。Aさんには配偶者Bさんがいますが、子供はいません。Aさんの両親はすでに亡くなっており、兄Cさんがいます。この場合、BさんとCさんが法定相続人となり、Bさんが3/4・Cさんが1/4の割合で相続することになります。
状況別・あなたのケースはどれ?
お子さんがいない場合でも、家族構成によって相続人・相続割合は大きく異なります。ご自身の状況に近いケースをご確認ください。
ケース①:配偶者がいて、親も兄弟姉妹もいない
→ 配偶者が全財産を相続
最もシンプルなケースです。法定相続人は配偶者のみとなり、すべての財産を受け取ることができます。
ケース②:配偶者がいて、亡くなった方の親が存命
→ 配偶者2/3・親1/3
親(父母や祖父母)が生きている場合は、財産の1/3が親側に渡ります。配偶者が「全部受け取れると思っていた」とならないよう、事前に把握しておくと安心です。
ケース③:配偶者がいて、親は亡くなっており、兄弟姉妹がいる
→ 配偶者3/4・兄弟姉妹1/4
兄弟姉妹が複数いる場合は、1/4をさらに人数で分けます。異母・異父の兄弟姉妹がいる場合は、その方の取り分は他の兄弟姉妹の半分となります。
ケース④:独身で子供もいない(配偶者なし)
→ 親→兄弟姉妹→甥・姪の順で相続
配偶者も子供もいない場合、財産はご両親や兄弟姉妹に渡ります。それも存在しない場合、最終的には国庫(こっこ)に帰属することになります。この場合、遺言書による対策が特に重要です。
ケース⑤:内縁の配偶者(事実婚)がいて、子供はいない
→ 内縁の配偶者は法定相続人にならない
法律上の婚姻関係がない場合、どれだけ長年連れ添っていても、内縁の配偶者は法定相続人にはなりません。財産を残したい場合は、遺言書の作成が不可欠です。

時系列で見る:子なし相続の対応手順
「いつまでに何をすればいいか」を前もって知っておくことで、焦らずに対処できます。
| 時期 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 死亡直後〜7日以内 | 死亡届の提出 | 市区町村役場へ。葬儀社が代行することも多い |
| 〜3ヶ月以内 | 相続放棄・限定承認の検討 | 借金がある場合は特に慎重に。家庭裁判所へ申述 |
| 〜4ヶ月以内 | 準確定申告(じゅんかくていしんこく) | 亡くなった方のその年分の所得税申告が必要な場合 |
| 〜10ヶ月以内 | 相続税の申告・納付 | 遺産総額が基礎控除を超える場合のみ。税務署へ |
| 期限なし(早めに) | 遺産分割協議・名義変更 | 相続人全員の合意が必要。不動産は登記変更も |
※ 期限はあくまで目安であり、状況によって異なる場合があります。専門家にご相談のうえ確認されることをお勧めします。
【関連】相続税の申告・計算方法について詳しくはこちら →「相続税 いくらから かかる 計算方法をわかりやすく解説」
子供がいない場合、遺産はどこへ行くのか:よくある誤解
「配偶者がすべてもらえる」は必ずしも正しくない
多くの方が「夫婦二人なのだから、どちらかが亡くなれば全部もう一方のもの」と思われています。しかし、前述のとおり、亡くなった方の親や兄弟姉妹が生存していれば、その方々も法定相続人となります。
特に、義兄弟・義姉妹(配偶者の兄弟姉妹)との関係が希薄な場合でも、法律上は相続人になり得ます。残された配偶者が予期せぬかたちで遺産協議を行わなければならないケースも少なくありません。
「兄弟姉妹には遺留分(いりゅうぶん)がない」
遺留分とは、一定の相続人に保障された最低限の相続割合のことです。親(直系尊属)にはこの権利がありますが、兄弟姉妹には遺留分がありません。これは、遺言書を活用する際の大きなメリットになります。
つまり、「全財産を配偶者に」という内容の遺言書を作成した場合、子供がいなければ、兄弟姉妹はその内容に異議を唱えることができないのです。
子供がいない夫婦が「今からできる」備え
① 遺言書(いごんしょ)の作成
最も有効な備えは遺言書の作成です。特に内縁関係の方や、配偶者に全財産を残したい方、介護でお世話になった方への感謝の気持ちを形にしたい方には、ぜひ検討していただきたい方法です。
遺言書の主な種類
- 自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん):ご自身で手書きして作成。費用はほぼかかりませんが、形式不備で無効になるリスクもあります
- 公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん):公証役場で作成。費用は財産額によりますが、数万円〜10万円程度が目安(地域差があります)。内容の確実性が高く、家庭裁判所の検認(けんにん)が不要です
② 生前贈与(せいぜんぞうよ)の活用
生きているうちに財産の一部を特定の人に贈ることで、相続時のトラブルを減らせる場合があります。ただし、贈与税(ぞうよぜい)の扱いや、相続税との関係については専門家への相談が欠かせません。
③ 家族信託(かぞくしんたく)の検討
信頼できる家族に財産の管理・処分を任せる制度です。認知症などで判断能力が低下した後の財産管理にも役立ちます。比較的新しい制度のため、司法書士や弁護士に相談しながら進めることをお勧めします。
【関連】遺言書の書き方・種類について詳しくはこちら →「遺言書 書き方 自筆 公正証書 違い と選び方」
相談できる窓口一覧
「誰かに相談したい」と思ったとき、頼れる場所はたくさんあります。一人で抱え込まないでください。
| 相談先 | 費用の目安 | 主な対応内容 |
|---|---|---|
| 弁護士会の法律相談 | 30分5,500円程度(地域差あり) | 相続全般・トラブル解決・遺言書作成 |
| 司法書士会の相談窓口 | 無料〜数千円程度 | 不動産登記・遺産分割協議書の作成支援 |
| 市区町村の無料相談 | 無料 | 相続の基礎的な案内・窓口紹介 |
| 税理士(相続専門) | 無料相談あり | 相続税の計算・申告 |
| 法テラス(ほうてらす) | 収入に応じて無料〜 | 費用の立替制度あり。弁護士紹介 |
| 公証役場 | 財産額による | 公正証書遺言の作成・相談 |
法テラス(日本司法支援センター):0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時)
よくある質問(FAQ)
Q1. 子供がいない場合、配偶者が全部相続できますか?
A. 必ずしもそうではありません。亡くなった方の親や兄弟姉妹が存命の場合、その方々も法定相続人となります。配偶者が単独で全財産を受け取るためには、他の相続人が相続放棄をするか、「全財産を配偶者に」という内容の遺言書が必要になる場合があります。
Q2. 内縁の妻(夫)は相続できないのですか?
A. 法律上の婚姻関係がない内縁の配偶者は、法定相続人にはなりません。ただし、遺言書で財産を遺贈(いぞう)することは可能です。また、「特別縁故者(とくべつえんこしゃ)」として家庭裁判所に申し立てることで、一定の財産を受け取れる場合もあります。いずれも専門家への相談をお勧めします。
Q3. 子供がいない場合、相続税の控除はどうなりますか?
A. 相続税には「基礎控除(きそこうじょ)」があり、「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」を超えない場合は、相続税がかからないのが原則です。子供がいない場合でも、配偶者には「配偶者の税額軽減」が適用され、法定相続分または1億6,000万円のどちらか多い金額までは相続税がかからない場合があります。詳細は税理士にご相談ください。
Q4. 亡くなった方に借金があった場合はどうなりますか?
A. 借金も相続の対象になります。相続放棄(そうぞくほうき)を行えば、プラスの財産もマイナスの財産(借金)も引き継がないことができます。ただし、相続を知った日から原則3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。前もってこの期限を知っておくことで、焦らずに対処できます。
Q5. 遺言書がない場合、どうやって遺産を分けますか?
A. 遺言書がない場合は、法定相続人全員で「遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)」を行い、全員が合意した内容で財産を分けます。一人でも合意しない相続人がいると協議が成立しないため、話し合いが難航する場合もあります。その際は弁護士や調停制度(家庭裁判所)を活用できます。
まとめ:子供がいない相続で知っておきたい5つのポイント
複雑に感じられる相続の話も、ポイントを整理すると少しずつ見えてきます。最後に、大切なことを5つにまとめました。
- 子供がいない場合、配偶者だけが相続人とは限らない。親や兄弟姉妹が相続人になる場合があります
- 内縁の配偶者は法定相続人にならない。遺言書による対策が不可欠です
- 兄弟姉妹には遺留分がない。「配偶者に全財産を」という遺言書は有効に機能しやすいです
- 相続放棄の期限は原則3ヶ月。借金がある可能性があれば早めに確認を
- 遺言書・生前贈与・家族信託など、今からできる備えがあります
何より大切なのは、「一人で抱え込まないこと」です。相続の手続きは複雑ですが、あなたをサポートしてくれる専門家や窓口は必ずあります。
専門家への相談案内
相続は、ご家族の状況によって対応がまったく異なります。「自分のケースはどうなるのか」と不安に感じたときは、どうか一人で抱え込まずに、専門家へご相談ください。
弁護士・司法書士・税理士への相談は、多くの場合、初回無料または低額で受け付けています。また、お住まいの市区町村の無料法律相談や、法テラス(0570-078374)を活用することもできます。
あなたが今、この大変な状況の中で情報を集めようとしていること、それだけでも十分に立派なことです。どうか焦らず、できることから一歩ずつ進んでいきましょう。
【関連】相続人の確認・相続手続きの全体像について詳しくはこちら →「相続手続き 何から始める 順番と全体の流れをわかりやすく解説」
免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスを提供するものではありません。具体的なご状況については、弁護士・司法書士・税理士等の専門家にご相談ください。法律・制度の情報は変更される場合があります。最新情報はe-Gov 法令検索等でご確認ください。
> ※費用・価格はあくまで参考値です。地域・業者・個別の状況によって大きく異なります。必ず複数の業者・専門家に確認してください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別案件については弁護士・税理士・葬儀の専門家にご相談ください。
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