大切な方を亡くされ、心身ともにお辛い時期に、生命保険の手続きについてお調べのことと存じます。何から手をつければ良いのか、不安に感じていらっしゃるかもしれません。この手続きは複雑に感じるかもしれませんが、一つずつ、できるときに進めていけば大丈夫です。
このページでは、生命保険や積立型保険(養老保険、終身保険、学資保険、個人年金保険など)の保険金や解約返戻金を受け取る際の手続きについて、具体的な手順、必要書類、そして税金に関する注意点を分かりやすく解説します。

この記事でわかること
- 生命保険・積立型保険の受取手続きの全体像
- 保険金請求に必要な書類と期限
- 養老保険の満期、終身保険の解約返戻金、学資保険や個人年金保険の受取時にかかる税金の種類と確定申告のポイント
- 専門家に代行を依頼する際の費用目安と注意点
まず確認すべき期限
生命保険金や積立型保険の受取手続きには期限があります。特に以下の期限は、手続きを始めるにあたって最初に把握しておくと安心です。
- 保険金請求の時効: 保険法により、保険金請求権は原則として「3年間」で時効となります(保険法第95条)。ただし、保険会社によっては時効期間を長く設定している場合もありますので、早めに確認・連絡することをおすすめします。
- 相続税の申告・納税期限: 死亡保険金が相続税の対象となる場合、被相続人の死亡を知った日の翌日から「10ヶ月以内」に税務署へ申告・納税が必要です。
- 所得税の確定申告期限: 学資保険や個人年金保険の受取金が一時所得や雑所得となる場合、原則として受取年の翌年「3月15日まで」に確定申告が必要です。
これらの期限を念頭に置きながら、ご自身のペースで手続きを進めていきましょう。
【PR】本記事にはプロモーションが含まれます。生命保険・積立型保険の受取手続きSTEP別手順
生命保険金や積立型保険の受取手続きは、いくつかのステップを踏んで進めます。慌てずに、一つずつ確認しながら進めていきましょう。
STEP1: 保険契約の確認と必要書類の収集
まずは、故人が加入していた保険契約の内容を確認することが重要です。保険証券や保険契約に関する書類を探しましょう。
□ 保険証券・契約書類の確認
* 保険会社名、契約者名、被保険者名、受取人名
* 保険の種類(例:終身保険、養老保険、定期保険、学資保険、個人年金保険など)
* 保険金額、特約内容、満期日(養老保険の場合)
* 連絡先(保険会社の電話番号やウェブサイト)
【専門家からのアドバイス:孤独死・孤立死の場合の特殊清掃と相続の関係】
弁護士によると、孤独死・孤立死が発覚した場合、賃貸物件では大家から特殊清掃費用を相続人に請求されるケースがあります。ただし、相続放棄をすれば原則として賠償義務を負いません。しかし、放棄前に遺品整理などの「相続財産の処分行為」をすると、単純承認とみなされ放棄できなくなるリスクがあります。
遺品整理業者へ依頼する前に、必ず相続放棄の可否を弁護士に確認することが重要です。「遺品を少し整理しただけ」でも、法定単純承認(民法921条)に該当する可能性があるため注意が必要です(民法938条)。
STEP2: 保険会社への連絡と請求手続き
契約内容が確認できたら、保険会社に連絡し、保険金請求の意思を伝えます。
□ 保険会社への連絡
* 保険会社の窓口または担当者に連絡し、被保険者が亡くなった旨を伝えます。
* 保険証券番号や契約者情報などを伝えるとスムーズです。
* 保険金請求に必要な書類や手続きの流れについて案内を受けます。
□ 請求書類の取り寄せと記入
* 保険会社から送付される請求書類に必要事項を記入します。
* この際、受取人自身の情報や、故人(被保険者)の情報などを正確に記載しましょう。
STEP3: 保険金の受領と税金の確認
請求手続きが完了し、保険会社による審査が終わると、保険金が支払われます。この際、税金に関する確認が非常に重要です。
□ 保険金の受領
* 指定した口座に保険金が振り込まれます。
* 保険金は、原則として保険契約で定められた受取人固有の財産となります。
□ 税金の種類と申告の確認
生命保険金や積立型保険の受取金には、契約形態によって相続税、所得税(一時所得・雑所得)、贈与税のいずれかが課税されます。
- 相続税の対象となるケース
- 契約者(保険料負担者)と被保険者が同一人物で、受取人がその相続人の場合。
- 例:夫が契約者・被保険者で、妻が受取人の終身保険や養老保険の死亡保険金。
- 死亡保険金には「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠があります。
- 所得税(一時所得)の対象となるケース
- 契約者と受取人が同一人物の場合で、満期保険金や解約返戻金を受け取る場合。
- 例:学資保険の満期保険金や、終身保険を解約して解約返戻金を受け取る場合。
- 一時所得の金額は「(総収入金額 − 支出した保険料総額 − 特別控除額50万円) ÷ 2」で計算されます。
- 所得税(雑所得)の対象となるケース
- 個人年金保険のように、年金形式で保険金を受け取る場合。
- 例:個人年金保険の年金受取。
- 雑所得は、他の所得と合算して課税されます。
- 贈与税の対象となるケース
- 契約者、被保険者、受取人がそれぞれ異なる場合。
- 例:夫が契約者、妻が被保険者、子が受取人の生命保険で、夫の死亡により妻が死亡保険金を受け取る場合。
【関連】 生命保険の税金について詳しくはこちら
必要書類一覧チェックリスト
保険金請求に必要な主な書類は以下の通りです。保険会社や契約内容によって異なる場合があるため、必ず保険会社からの案内でご確認ください。

□ 保険金請求書(保険会社指定の書式)
□ 保険証券(紛失している場合は保険会社に相談)
□ 被保険者の死亡診断書または死体検案書(写しで可の場合が多い)
□ 被保険者の戸籍謄本(死亡の事実が記載されたもの)
□ 受取人全員の戸籍謄本(受取人であることが確認できるもの)
□ 受取人全員の印鑑登録証明書
□ 受取人全員の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
□ 受取人名義の預貯金通帳のコピー(振込口座確認のため)
□ その他、保険会社が指定する書類(例:交通事故の場合は交通事故証明書など)
書類が揃わない場合の代替手段・猶予規定
もし戸籍謄本などの公的書類がすぐに揃わない場合は、保険会社にその旨を伝え、相談しましょう。仮書類での受付や、後日の提出を認めてくれるケースもあります。また、相続人が多い場合や、相続人の所在が不明な場合は、手続きに時間がかかることがあります。焦らず、保険会社や専門家(弁護士、司法書士など)に相談することが大切です。
期限カレンダー|保険金受取と税金申告のスケジュール
主な手続きの期限を一覧にまとめました。これらの期限は一般的なものであり、個別の事情により異なる場合があります。
| 手続き内容 | 期限 | 窓口・担当 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 保険会社への連絡・請求手続き | 死亡を知った日からなるべく早く | 保険会社 | 保険金請求権の時効は原則3年(保険法第95条) |
| 死亡保険金の相続税申告・納税 | 被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内 | 税務署 | 非課税枠(500万円×法定相続人数)あり |
| 準確定申告(故人の所得税申告) | 相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内 | 税務署 | 故人が確定申告が必要な所得があった場合 |
| 一時所得の確定申告(学資保険・解約返戻金など) | 受取年の翌年3月15日まで | 税務署 | 特別控除額50万円を適用後、課税所得の1/2が対象 |
| 雑所得の確定申告(個人年金保険など) | 受取年の翌年3月15日まで | 税務署 | 他の所得と合算して課税 |
| 相続登記の申請(不動産がある場合) | 相続を知った日から3年以内(2024年4月1日〜義務化) | 法務局 | 司法書士への相談が効率的(不動産登記法76条の2) |

よくある失敗と対処法
生命保険の手続きでは、いくつかの点で失敗や誤解が生じやすいことがあります。事前に知っておくことで、スムーズな手続きに繋がります。
受取人指定の誤りや変更漏れ
- 失敗例: 保険契約時に指定した受取人がすでに亡くなっていた、または離婚により受取人を変更していなかった、など。
- 対処法: 受取人が亡くなっている場合、その相続人が新たな受取人となるのが一般的です。保険会社に連絡し、指示に従いましょう。契約者自身が受取人を変更したい場合は、生前に保険会社に申し出て手続きをする必要があります。
必要書類の不備や紛失
- 失敗例: 請求書類に不備があった、戸籍謄本が不足していた、保険証券を紛失してしまった、など。
- 対処法: 書類に不備があれば、保険会社から再提出を求められます。不足書類は速やかに準備しましょう。保険証券を紛失していても、契約者本人やその相続人であることを証明できれば、手続きを進められます。まずは保険会社に連絡し、指示を仰いでください。
税金計算・申告の誤り
- 失敗例: 死亡保険金が非課税だと思い込み、相続税の申告をしなかった。養老保険の満期保険金や学資保険の受取金が一時所得になることを知らず、確定申告を忘れてしまった。
- 対処法: 生命保険金や積立型保険の受取金は、契約形態によって課税対象となる税金が異なります。不明な点があれば、税務署や税理士などの専門家に相談しましょう。特に相続税の申告は期限が短く、複雑なため、早めの相談が肝心です。
【専門家からのアドバイス:相続登記の義務化の実務ポイント】
司法書士によると、2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に登記しないと10万円以下の過料の対象になります。過去に相続した未登記不動産も対象ですが、施行日から3年の猶予があります。相続登記は登記簿謄本・固定資産評価証明書・遺産分割協議書など書類が多く、自分でできると思いがちですが、専門家依頼が効率的です。相続人が多い・所在不明者がいる・遺産分割が未了の場合は、「相続人申告登記」という簡易制度(2026年4月〜)を活用できるため、司法書士に相談しましょう。
期限を過ぎた場合の救済措置
保険金請求の時効(原則3年)を過ぎてしまった場合でも、保険会社によっては時効を援用しないケースや、特別な事情があれば請求を受け付ける場合があります。まずは保険会社に相談してみることが大切です。相続税や所得税の申告期限を過ぎた場合は、延滞税や加算税が発生する可能性がありますが、自主的に申告すれば軽減される場合もあります。速やかに税務署や税理士に相談しましょう。
代行依頼する場合の流れと費用目安
生命保険の手続きやそれに伴う税金申告は、専門的な知識が必要となる場合や、精神的な負担が大きいと感じる方もいらっしゃるでしょう。その際は、専門家に代行を依頼することも可能です。
専門家への相談タイミング
- 手続きの全体像が掴めない場合: 何から手をつければ良いか分からない、複雑な契約内容で不安がある。
- 税金に関する疑問が多い場合: 相続税、所得税、贈与税など、どの税金が適用されるか不明、確定申告の方法が分からない。
- 相続人が複数いる、または連絡が取りづらい場合: 遺産分割協議や書類収集でトラブルが予想される。
- おひとりさまの場合: 自身の死後、手続きを依頼できる人がいない。
依頼できる専門家と費用相場
手続きの内容に応じて、適切な専門家を選ぶことが重要です。
| 専門家 | 主な業務内容 | 費用目安(税抜) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 弁護士 | 相続全般、遺産分割協議、相続放棄、遺言書の作成・執行、特殊清掃費用請求問題など | 着手金20〜50万円程度+成功報酬(事案による) | 法的な紛争解決、複雑なケースに強み |
| 税理士 | 相続税申告、所得税の確定申告、税務相談、節税対策など | 相続税評価額の0.5〜1%程度(最低10万円〜) | 税金に関する専門家、正確な申告をサポート |
| 司法書士 | 相続登記(不動産の名義変更)、遺産分割協議書作成、相続人調査、裁判所提出書類作成など | 5〜15万円程度(土地1筆・建物1棟の場合) | 不動産に関する手続き、簡易な相続手続き |
| 行政書士 | 遺言書作成サポート、相続人調査、財産目録作成、死後事務委任契約、各種契約解除手続きなど | 5〜30万円程度(業務内容による) | 書類作成の専門家、死後事務委任契約に強み |

費用はあくまで目安であり、事案の複雑さや依頼する専門家によって大きく異なります。まずは無料相談などを利用し、複数の専門家から見積もりを取ることをおすすめします。
【専門家からのアドバイス:おひとりさまの死後事務委任契約の重要性】
行政書士によると、身寄りのない単身者は、死亡後の手続き(死亡届、葬儀、不動産解約、各種解約など)を誰も行ってくれない可能性があります。生前に行政書士や弁護士と「死後事務委任契約」を締結しておくことで、死後の手続きを第三者に委託できます。費用は50〜100万円程度が目安です。
死後事務委任契約と遺言書は別物であり、「遺言書があれば死後の手続きは問題ない」は誤解です。財産分配には遺言書、事務手続きには死後事務委任契約が必要となるため、両方を検討することをおすすめします。
よくある質問
生命保険や積立型保険の受取について、よくある質問とその回答をまとめました。
Q1: 生命保険金は必ず相続税の対象になりますか?
A1: いいえ、必ずしも相続税の対象となるわけではありません。契約者(保険料負担者)と被保険者が同一人物で、受取人がその相続人である場合に相続税の対象となります。この場合、「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠が適用されます。契約形態によっては、所得税(一時所得や雑所得)や贈与税の対象となることもあります。
Q2: 養老保険の満期保険金を受け取る際の税金はどうなりますか?
A2: 養老保険の満期保険金を受け取る際の税金は、契約者(保険料負担者)と受取人の関係によって異なります。契約者と受取人が同一人物の場合は「一時所得」、契約者と受取人が異なる場合は「贈与税」の対象となるのが一般的です。一時所得の場合、受け取った保険金から支払った保険料の総額と特別控除額(最高50万円)を差し引いた金額の2分の1が課税対象となります。
Q3: 終身保険を解約して解約返戻金を受け取るタイミングはいつが良いですか?
A3: 終身保険の解約返戻金を受け取るタイミングは、税金面や資金計画によって異なります。一般的に、契約期間が短いと解約返戻金は支払った保険料を下回ることが多いですが、契約期間が長くなるにつれて返戻率は上昇し、支払った保険料を上回ることもあります。解約返戻金は「一時所得」として課税されますので、他の所得との兼ね合いや、資金が必要な時期などを考慮して、慎重に検討することをおすすめします。必要であれば税理士に相談し、最も有利なタイミングを見極めましょう。
Q4: 学資保険の受取時に確定申告は必要ですか?
A4: 学資保険の満期保険金や祝い金は、契約者(保険料負担者)と受取人が同一人物の場合、「一時所得」として課税されます。一時所得には50万円の特別控除があるため、受け取った保険金から支払った保険料総額を差し引いた利益が50万円以下であれば、原則として確定申告は不要です。しかし、利益が50万円を超える場合は確定申告が必要です。
Q5: 個人年金保険の受取はどのような税金がかかりますか?
A5: 個人年金保険の受取金にかかる税金は、年金の受け取り方や契約者・受取人の関係によって異なります。
* 年金形式で受け取る場合: 契約者と受取人が同一人物であれば「雑所得」として課税されます。契約者と受取人が異なる場合は「贈与税」の対象となります。
* 一括で受け取る場合: 契約者と受取人が同一人物であれば「一時所得」として課税されます。契約者と受取人が異なる場合は「贈与税」の対象となります。
ご自身の契約内容と受取方法を確認し、不明な点があれば保険会社や税理士に相談してください。
まとめ|一人で抱え込まず、窓口を頼ってください
この度は、生命保険や積立型保険の手続きについてお調べいただきありがとうございます。大切な方を亡くされた悲しみの中で、複雑な手続きに追われることは大変なご負担かと存じます。しかし、一つずつ着実に進めていけば、必ず完了できます。
手続きには期限があるものも多いですが、焦りすぎず、分からないことがあれば、保険会社や市役所、税務署の窓口、そして弁護士、税理士、司法書士、行政書士といった専門家を頼ってください。すべてを一人で抱え込まず、プロのサポートを借りることも大切な選択肢です。

生命保険や相続に関する手続きは、個々の状況によって複雑さが大きく異なります。まずは専門家へ相談するだけでも、具体的な見積もりやアドバイスが得られ、焦らず最適な選択ができます。
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この記事の監修について
本記事は「お葬式.info 編集部」が、行政書士・司法書士・葬儀業界経験者・僧侶を含む監修者チームの助言のもと、公的統計・法令・専門書を根拠に作成しています。個別のケースについては、必ず専門家にご相談ください。編集方針・監修者一覧は編集ポリシーをご確認ください。
※本記事は2026年6月時点の情報に基づいています。費用・制度は変更される場合がありますので、最新情報は各専門家・行政機関へご確認ください。
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