大切な方を失われた中で、家族信託の手続きに直面されている皆様へ。心よりお悔やみ申し上げます。このような時だからこそ、一人で抱え込まず、少しずつでも情報を整理し、専門家や信頼できる方に頼ることが大切です。この記事が、皆様の不安を少しでも和らげ、次に進むための一助となれば幸いです。
【PR】本記事にはプロモーションが含まれます。家族信託の受託者が亡くなった時の手続き完全ガイド|後任者選定から費用まで
家族信託は、高齢化社会において財産管理や承継を円滑に進めるための有効な手段です。しかし、信託契約の途中で受託者が亡くなるという予期せぬ事態が発生することもあります。この場合、信託契約がどうなるのか、どのような手続きが必要なのか、不安に感じる方も多いでしょう。
この記事では、家族信託における受託者死亡時の対処法、後任者選定、必要となる手続き、そして費用について、具体的なステップと注意点をわかりやすく解説します。
この記事でわかること / まず確認すべきこと
- 受託者死亡時の家族信託の基本的な考え方
- 後任受託者を選任する際の手順とポイント
- 信託財産の承継に必要な書類と手続き
- 専門家に依頼した場合の費用目安
- 一人で抱え込まず専門家へ相談する重要性
まず、受託者が亡くなった際に最も重要なのは、信託契約書の内容を確認することです。契約書に「予備受託者」の定めがあるか、信託の終了事由がどう規定されているかによって、その後の対処法が大きく変わります。

STEP別手順|受託者死亡後の家族信託手続きの流れ
家族信託の受託者が亡くなった場合、信託契約書に予備受託者の指定があるかないかで、その後の手続きの流れが大きく異なります。ここでは、一般的な流れをステップ形式で解説します。
STEP1:信託契約書の内容を確認する(所要時間目安:数日)
受託者が亡くなったら、まず信託契約書を速やかに確認することが最も重要です。以下の点を確認してください。
- 予備受託者の指定の有無: 信託契約書に、受託者が死亡した場合に備えて「予備受託者」が指定されているかを確認します。予備受託者が指定されていれば、その方が自動的に新しい受託者となります。
- 信託終了事由の確認: 受託者の死亡が信託の終了事由として規定されているかを確認します。契約書によっては、受託者の死亡をもって信託が終了すると定めているケースもあります。
- 新受託者の選任方法: 予備受託者の指定がない場合、誰がどのように新しい受託者を選任するのか、契約書に定めがあるかを確認します。信託監督人や受益者が選任権を持つケースもあります。
信託契約書に不明な点がある場合は、速やかに家族信託契約の作成に関わった司法書士や弁護士に相談しましょう。
STEP2:新受託者の選任・承諾(所要時間目安:数週間〜数ヶ月)
予備受託者の指定がある場合とない場合で、手続きが分かれます。
2-1. 予備受託者が指定されている場合
予備受託者が信託契約書で明確に指定されている場合、受託者の死亡により、その方が自動的に新しい受託者となります。
- 予備受託者への連絡: 予備受託者に受託者死亡の事実と、ご自身が新しい受託者になったことを伝えます。
- 就任の意思確認: 予備受託者が就任を承諾するかを確認します。承諾すれば、改めて「受託者就任承諾書」などの書類を作成します。
2-2. 予備受託者が指定されていない場合
予備受託者が指定されていない場合は、信託契約書で定められた方法に従い、新たな受託者を選任する必要があります。
- 選任権者による選任: 信託契約書に、信託監督人や受益者が新受託者を選任できる旨の規定があれば、その方が選任を行います。
- 受益者全員の合意による選任: 信託契約書に特別な定めがない場合、原則として受益者全員の合意によって新受託者を選任します(信託法第62条)。
- 裁判所への申し立て: 受益者全員の合意が得られない、または選任権者がいない場合は、裁判所に新受託者の選任を申し立てることも可能です。
- 就任の承諾: 選任された方が受託者への就任を承諾すれば、正式に新しい受託者となります。
STEP3:信託財産の引き継ぎと登記変更(所要時間目安:1ヶ月〜数ヶ月)
新受託者が確定したら、信託財産の引き継ぎと名義変更の手続きを行います。
- 信託財産の確認と引き継ぎ: 亡くなった受託者が管理していた信託財産(不動産、預貯金、有価証券など)の内容を確認し、新受託者へ引き継ぎます。預貯金口座などは、金融機関に受託者変更の届出が必要です。
- 不動産登記の変更: 信託財産に不動産が含まれる場合、法務局で信託登記の変更手続きが必要です。これは、亡くなった受託者から新受託者への名義変更に該当します。この手続きは司法書士に依頼するのが一般的です。
- 【関連】不動産登記について詳しくはこちら
- 預貯金口座等の名義変更: 信託口口座などの預貯金口座の名義を新受託者へと変更します。各金融機関に必要書類を確認し、手続きを進めます。
STEP4:関係者への通知(所要時間目安:数日〜数週間)
信託財産の引き継ぎが完了したら、受益者や関係者に対し、新受託者が就任したことを通知します。これにより、信託が継続していることと、誰が新しい受託者になったのかを明確に伝えることができます。
必要書類一覧チェックリスト
家族信託の受託者死亡に伴う手続きには、様々な書類が必要になります。ここでは、主な必要書類をチェックリスト形式でまとめました。
主な必要書類
□ 信託契約書原本
□ 亡くなった受託者の死亡診断書または戸籍謄本(死亡の事実を証明するため)
□ 亡くなった受託者の住民票の除票
□ 新受託者の住民票
□ 新受託者の印鑑証明書
□ 新受託者の身分証明書(運転免許証など)
□ 受託者就任承諾書(予備受託者または新しく選任された受託者が作成)
□ 受益者全員の同意書(予備受託者がいない場合で、受益者合意による選任の場合)
□ 信託財産に関する書類(不動産の登記簿謄本、固定資産評価証明書、預貯金通帳、有価証券の残高証明書など)
□ 不動産登記申請書(不動産がある場合)
□ 登記原因証明情報(上記登記申請に添付)
□ 委任状(専門家へ手続きを依頼する場合)
書類が揃わない場合の対処法
必要な書類が手元にない、または取得が難しい場合もあります。例えば、亡くなった受託者の戸籍謄本が遠方で取得しにくい、信託契約書の控えが見つからないといったケースです。
- 戸籍謄本・住民票: 亡くなった方の本籍地や住所地の役所に郵送で請求することが可能です。
- 信託契約書: 契約作成に関わった司法書士や弁護士に控えがあるか確認しましょう。公正証書で作成されている場合は、公証役場に謄本を請求できます。
- 金融機関の書類: 各金融機関に相談すれば、必要な書類や手続きについて案内してもらえます。
書類が揃わない場合は、速やかに専門家(司法書士や弁護士)に相談し、代替手段や取得方法についてアドバイスを求めることが重要です。
期限カレンダー|受託者死亡に伴う手続きの期限一覧
家族信託の受託者死亡に伴う手続きには、法律で定められた明確な期限はありませんが、速やかに対応すべき事項が多くあります。ここでは、関連する手続きの目安となる期限と窓口を整理します。
主な手続きと期限
| 手続き名 | 目安となる期限 | 主な窓口 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 信託契約書の確認 | 受託者死亡後、速やかに | 信託契約を締結した専門家 | 予備受託者の有無、信託終了事由の確認 |
| 新受託者の選任 | 信託契約書に基づき速やかに | 受益者、信託監督人、裁判所 | 予備受託者がいない場合 |
| 不動産登記名義変更 | 新受託者就任後、速やかに | 法務局 | 義務ではないが、放置するとトラブルの原因に |
| 金融機関への届出 | 新受託者就任後、速やかに | 各金融機関 | 信託口口座等の名義変更 |
| 相続放棄の検討 | 相続の開始を知った日から3ヶ月以内 | 家庭裁判所 | 亡くなった受託者に負債がある場合 |
| 所得税の準確定申告 | 相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内 | 税務署 | 亡くなった受託者に所得があった場合 |
期限を過ぎた場合の救済措置
上記の期限はあくまで目安ですが、特に相続に関連する手続きには法的な期限があります。
- 相続放棄: 相続放棄の期限は「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」と定められています(民法第915条)。弁護士の見地によると、この起算点は「死亡日」ではなく、相続人が被相続人の死亡を知った日となります。また、借金の存在を知らなかった場合など、事情によっては期限を過ぎても放棄できるケースがあると最高裁昭和59年4月27日判決で示されています。3ヶ月の伸長申請も家庭裁判所で行うことが可能です。放棄を検討するなら早めに弁護士へ相談しましょう。
- 所得税の準確定申告: 期限を過ぎても申告は可能ですが、延滞税や加算税が発生する可能性があります。
期限を過ぎてしまった場合でも、状況によっては対処法があるため、諦めずに専門家(税理士や弁護士)に相談することが重要です。
よくある失敗と対処法
家族信託の受託者が死亡した際に、よくある失敗とその対処法を知っておくことで、スムーズな手続きに繋がります。
予備受託者の指定がないケース
信託契約書に予備受託者の指定がないと、新受託者の選任手続きが複雑になることがあります。
- 失敗例: 予備受託者が指定されておらず、受益者間の意見がまとまらず、新受託者がなかなか決まらない。
- 対処法:
- 受益者全員で話し合い: まずは受益者全員で、誰が新受託者になるのが適切かを話し合い、合意形成を目指します。
- 信託監督人・受益者代理人の設置: 事前に信託監督人や受益者代理人を定めておけば、彼らが新受託者を選任する役割を担うことができます。
- 裁判所への申し立て: 合意が得られない場合は、最終手段として裁判所に新受託者の選任を申し立てることになります。この場合、時間と費用がかかるため、できるだけ避けたい方法です。
信託財産の引き継ぎミス
信託財産の引き継ぎが不十分だと、後々トラブルに発展することがあります。
- 失敗例: 亡くなった受託者が管理していた信託口口座の存在を知らず、放置してしまった。不動産の名義変更を忘れてしまい、売却時に問題が発生した。
- 対処法:
- 財産目録の確認: 信託契約書に添付されている財産目録を基に、すべての信託財産が新受託者に引き継がれているかを確認します。
- 金融機関への問い合わせ: 亡くなった受託者が取引していた金融機関に、信託口口座の有無を確認します。
- 専門家による確認: 不安な場合は、司法書士や弁護士に信託財産の引き継ぎ状況の確認を依頼しましょう。
遺言書・相続に関する誤解
受託者の死亡は、同時にその受託者の「相続」も発生します。この相続手続きと家族信託の手続きを混同したり、誤解したりすることがあります。
- 失敗例: 亡くなった受託者の遺言書に「全財産を長男に」と書かれていたため、信託財産も長男が相続すると誤解してしまった。
- 対処法:
- 信託財産は受託者の相続財産ではない: 信託財産は、あくまで委託者から信託された財産であり、受託者個人の財産ではありません。そのため、受託者が亡くなっても、信託財産が受託者の相続財産になることはありません。遺言書の内容も、信託財産には影響しません。
- 遺留分への配慮: 弁護士の見地によると、「全財産を長男に相続させる」という遺言書は一見有効に見えますが、遺留分(いりゅうぶん)を無視した内容だと、他の相続人から遺留分侵害額請求を受けるリスクがあります(民法第1042条)。遺言書作成時は必ず遺留分を考慮した内容にすることが実務上の鉄則です。兄弟姉妹には遺留分がない点も注意が必要です。
- 専門家への相談: 受託者の相続手続きと家族信託の手続きは明確に区別して進める必要があります。疑問が生じたら、すぐに弁護士や司法書士に相談しましょう。
代行依頼する場合の流れ・費用目安
家族信託の受託者死亡に伴う手続きは、専門的な知識と多くの書類作成、そして法務局や金融機関とのやり取りが必要になります。悲しみの中でこれらの手続きをすべて一人で行うのは大きな負担です。専門家に代行を依頼することで、手続きをスムーズかつ正確に進めることができます。
専門家へ相談するメリット
- 手続きの正確性: 法律に基づいた適切な手続きを代行してもらえるため、ミスや漏れを防げます。
- 時間と手間の削減: 複雑な書類作成や役所・金融機関での手続きを任せられるため、ご自身の負担が軽減されます。
- トラブルの回避: 専門家の知見により、予期せぬトラブルや将来のリスクを未然に防ぐことができます。
- 精神的負担の軽減: 悲しい状況で精神的な負担が大きい中、頼れる存在がいることは大きな安心に繋がります。
費用相場と内訳
家族信託の受託者死亡に伴う手続きを専門家に依頼する場合の費用は、信託財産の内容や手続きの複雑さ、依頼する専門家(司法書士、弁護士など)によって大きく異なります。あくまで参考値・目安として捉えてください。

| 項目 | 費用目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 相談料 | 5,000円〜10,000円/時間 | 初回無料の事務所もあります |
| 信託登記名義変更手数料 | 5万円〜15万円程度 | 司法書士報酬。不動産の数や評価額により変動 |
| 登録免許税 | 不動産評価額の0.4% | 国に納める税金。司法書士報酬とは別 |
| 信託契約書変更・作成サポート | 10万円〜30万円程度 | 予備受託者の選任、契約内容の見直しなど |
| その他実費 | 数千円〜数万円 | 戸籍謄本取得費用、郵送費など |
| 弁護士への依頼(複雑なケース) | 30万円〜100万円以上 | 争いがある場合や裁判所への申し立てが必要な場合 |
※上記費用はあくまで目安です。地域や専門家によって大きく異なりますので、必ず事前に見積もりを確認しましょう。
専門家の選び方
- 家族信託の実績: 家族信託に関する専門知識と豊富な実績を持つ司法書士や弁護士を選びましょう。
- 費用体系の明確さ: 見積もりを明確に提示し、追加費用の有無なども事前に説明してくれる事務所を選びましょう。
- 親身な対応: 悲しみや不安に寄り添い、親身になって相談に乗ってくれる専門家を選びましょう。
- 無料相談の活用: 多くの事務所が初回無料相談を実施しています。複数の事務所に相談し、比較検討することをおすすめします。
よくある質問
Q1:受託者が死亡した場合、家族信託は必ず終了しますか?
A1:いいえ、必ずしも終了するわけではありません。信託契約書に予備受託者が指定されていれば、その方が新しい受託者となり、信託は継続します。予備受託者がいない場合でも、受益者全員の合意や裁判所の選任によって新たな受託者が就任すれば、信託を継続させることが可能です。ただし、信託契約書に受託者の死亡が信託の終了事由として明確に定められている場合は、その規定に従い信託が終了します。
Q2:予備受託者を指定していなかった場合、どうすれば良いですか?
A2:信託契約書に予備受託者の指定がない場合、まず受益者全員で新しい受託者を選任することについて話し合い、合意形成を目指します(信託法第62条)。合意が得られれば、その方が新受託者となります。もし合意が得られない、または選任権者がいない場合は、裁判所に新受託者の選任を申し立てることも可能です。いずれにしても、専門家である弁護士や司法書士に相談し、適切な手続きを進めることが重要です。
Q3:新しい受託者が見つからない場合、信託はどうなりますか?
A3:新しい受託者が見つからない場合、信託法に基づき、信託が終了する可能性があります(信託法第163条第1号)。信託が終了すると、信託財産は信託契約で定められた帰属権利者(通常は受益者またはその相続人)に引き継がれることになります。ただし、信託終了の手続きも専門的な知識が必要となるため、弁護士や司法書士に相談してください。
Q4:家族信託契約書に不備があった場合、修正できますか?
A4:信託契約書の内容は、原則として委託者と受託者の合意によって作成されます。受託者が亡くなった後でも、契約書に不備が見つかった場合や、状況の変化に合わせて内容を変更したい場合は、受益者全員の同意があれば変更が可能な場合があります(信託法第144条)。ただし、変更内容によっては、委託者の意思能力が問われることもあります。弁護士の見地によると、認知症の親が作った遺言書の有効性が問題となるように(民法963条)、契約変更時も当事者の意思能力が重要です。軽度認知症でも意思能力があれば有効な契約は作れますが、後の紛争防止のため、医師の診断書などを保存しておくと安心です。変更手続きは専門家と相談しながら慎重に進めましょう。
Q5:受託者の死亡後、信託財産は誰の相続財産になりますか?
A5:信託財産は、受託者の固有の財産とは法的に区別されています。そのため、受託者が死亡しても、信託財産が亡くなった受託者の相続財産になることはありません。信託財産は、信託契約の目的を達成するために、新しく選任された受託者へと引き継がれ、受益者のために管理・運用され続けます。
まとめ|一人で抱え込まず、専門家を頼ってください
家族信託の受託者死亡は、予期せぬ事態であり、その後の手続きには専門的な知識と細やかな対応が求められます。信託契約書の確認から、新受託者の選任、信託財産の引き継ぎ、そして登記変更に至るまで、一つ一つのステップを正確に進める必要があります。
悲しみの中で、これらの複雑な手続きをすべて一人で抱え込む必要はありません。司法書士や弁護士といった専門家は、皆様の状況に寄り添い、適切なアドバイスとサポートを提供してくれます。

すべてを完璧にこなそうとせず、まずは専門家への相談を検討してみてください。
【関連】家族信託についてより詳しく知りたい方はこちら:家族信託の基本ガイド
家族信託の受託者死亡という緊急事態は、専門知識がないと手続きが滞りがちです。まずは専門家へ相談するだけでも、具体的な解決策の糸口が見つかり、焦らず次に進むための道筋が見えてきます。
この記事の監修について
本記事は「お葬式.info 編集部」が、行政書士・司法書士・葬儀業界経験者・僧侶を含む監修者チームの助言のもと、公的統計・法令・専門書を根拠に作成しています。個別のケースについては、必ず専門家にご相談ください。編集方針・監修者一覧は編集ポリシーをご確認ください。
※本記事は2026年6月時点の情報に基づいています。費用・制度は変更される場合がありますので、最新情報は各専門家・行政機関へご確認ください。
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