日常生活支援総合事業(総合事業)とは?高齢者の自立を支える地域の取り組み
「最近、買い物に行くのが少し億劫になってきた」「家の掃除がなかなか捗らない」など、年齢を重ねるにつれて日常生活にちょっとした不便を感じることはありませんか?また、ご家族の介護について「まだ要介護認定を受けるほどではないけれど、何かサポートがあると助かるのに」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
そうした高齢者の皆さんの「ちょっとした困りごと」をサポートし、住み慣れた地域で自分らしい生活を長く続けられるように支援するのが「日常生活支援総合事業」、通称「総合事業」です。これは、2015年(平成27年)の介護保険制度改正で導入され、2026年現在も高齢者の自立支援と介護予防を推進する上で非常に重要な役割を担っています。従来の介護保険サービスとは異なり、市町村が主体となって地域の特性に応じた多様なサービスを提供しているのが大きな特徴です。
総合事業の目的は、単に困りごとを解決するだけでなく、高齢者の方々が地域社会とのつながりを持ち、健康で活動的な生活を送れるようにすることにあります。介護保険の「要支援認定」を受けた方だけでなく、「基本チェックリスト」で生活機能の低下が見られた方も対象となるため、より多くの方が気軽に利用できる仕組みになっています。地域包括ケアシステムの中核を担う事業として、高齢者の皆さんが安心して暮らせる地域づくりに貢献しています。
総合事業の対象者は?「事業対象者」と「要支援認定」について
総合事業を利用できるのは、主に以下の二つのタイプの方々です。ご自身やご家族がどちらに当てはまるか、ぜひご確認ください。
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事業対象者
「事業対象者」とは、65歳以上の高齢者で、介護保険の要介護認定は受けていないものの、市町村が実施する「基本チェックリスト」によって生活機能の低下が認められた方を指します。
- 対象となる方の一例:
- 以前に比べて、家事や買い物が大変だと感じるようになった。
- 外出の機会が減り、閉じこもりがちになった。
- 体操や運動をする機会が減り、体力の衰えを感じる。
- 食事の準備が面倒になり、簡単なもので済ませてしまうことが多い。
- 利用までの流れ:
まずは、お住まいの地域の地域包括支援センターや市町村の窓口に相談します。そこで「基本チェックリスト」という25項目の簡単な質問票に回答し、生活機能の低下が認められれば「事業対象者」として総合事業のサービスを利用できるようになります。要介護認定を受ける必要がないため、比較的スムーズにサービス利用を開始できるのがメリットです。
- 対象となる方の一例:
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要支援1・2認定者
介護保険の要介護認定で「要支援1」または「要支援2」と認定された方も、総合事業のサービスを利用できます。従来の介護予防サービスに相当する内容が、総合事業の中で提供されています。
- 対象となる方の一例:
- 身の回りのことはある程度自分でできるが、部分的に介護が必要な方(要支援1)。
- 立ち上がりや歩行に不安定さがあり、入浴や排泄などの日常生活動作で一部介助が必要な方(要支援2)。
- 利用までの流れ:
要支援認定を受けるには、まず市町村の窓口に申請し、訪問調査や主治医の意見書に基づいて介護認定審査会で審査が行われます。認定結果が通知された後、地域包括支援センターのケアマネジャーがケアプラン(介護予防ケアマネジメント)を作成し、そのプランに基づいて総合事業のサービスを利用します。
このように、総合事業はまだ介護が必要になる前の段階から、積極的に介護予防や生活支援を行うことで、高齢者の皆さんが元気で自立した生活を長く送れるようサポートしています。
- 対象となる方の一例:
どんなサービスが受けられる?「介護予防・生活支援サービス事業」の種類と内容
総合事業で提供される「介護予防・生活支援サービス事業」は、大きく分けて「訪問型サービス」と「通所型サービス」の二種類があります。市町村によって提供されるサービスの種類や内容は異なりますが、ここでは一般的なサービス内容をご紹介します。
訪問型サービス:自宅での生活をサポート
自宅での生活を続ける上で、買い物や掃除、調理などの家事が困難になった場合に利用できるサービスです。専門職による支援だけでなく、地域住民が主体となって行う多様なサービスも提供されています。
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ホームヘルプサービス(従来の訪問介護に相当)
介護職員などが自宅を訪問し、日常生活の支援を行います。利用者本人が日常生活を送る上で必要な支援が中心です。
- 身体介護:
入浴、排泄、食事の介助、着替えの介助、身体の清拭、体位変換など、利用者の身体に直接触れて行う介護です。
- 生活援助:
掃除、洗濯、買い物、調理など、日常生活に必要な家事を代行します。ただし、利用者本人以外の家族のための家事や、趣味・嗜好品のための買い物などは対象外です。
- 身体介護:
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住民主体型サービス・多様なサービス
地域住民やNPO法人、ボランティア団体などが主体となって提供する、きめ細やかなサービスです。費用が安価な場合が多く、気軽に利用できるのが特徴です。
- 具体的な内容例:
見守り、安否確認、簡単な家事援助(電球交換、ゴミ出しなど)、外出時の付き添い、話し相手、庭の草むしりなど、地域の実情に応じた多様な支援が行われます。
- 具体的な内容例:
通所型サービス:施設で活動し、交流を深める
施設などに通い、レクリエーションや機能訓練、食事などを通じて、心身機能の維持向上や他者との交流を促進するサービスです。自宅に閉じこもりがちな方の気分転換や、ご家族の介護負担軽減にもつながります。
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デイサービス(従来の通所介護に相当)
通所介護施設に通い、日中の活動を行います。
- 具体的な内容:
入浴、食事の提供、健康チェック、機能訓練(体操やリハビリテーション)、レクリエーション活動(ゲーム、歌、手芸など)、季節の行事などを通じて、心身の活性化を図ります。他の利用者との交流を通じて、孤独感の解消にもつながります。
- 具体的な内容:
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住民主体型サービス・多様なサービス
地域の公民館や集会所などを活用して、気軽に集える場を提供します。専門的なサービスというよりは、地域住民との交流や健康づくりが目的です。
- 具体的な内容例:
体操教室、健康講座、趣味のサークル活動(囲碁、将棋、手芸など)、地域住民との交流会、簡単な調理実習など。地域のボランティアなどが運営に携わることが多く、アットホームな雰囲気で参加できます。
- 具体的な内容例:
総合事業の費用はどのくらい?2026年現在の自己負担額と利用例
総合事業のサービスを利用する際の費用は、介護保険サービスと同様に、原則としてかかった費用の1割が自己負担となります。ただし、所得に応じて2割または3割負担となる場合があります。また、市町村が独自に料金を設定しているため、具体的な費用は地域によって異なる点にご注意ください。ここでは、2026年現在の一般的な費用の目安をご紹介します。
訪問型サービス費用の目安
訪問型サービスでは、サービスの提供時間や内容によって料金が設定されています。以下はあくまで一例です。
- 身体介護中心型(要支援1・2認定者):
1回あたり数百円~千円台(例:20分未満、20分以上45分未満など、時間によって料金が異なります)。
- 生活援助中心型(要支援1・2認定者):
1回あたり数百円~千円台(例:20分未満、20分以上45分未満など、時間によって料金が異なります)。
- 住民主体型サービス:
ボランティアによるサービスなど、1回数百円程度の安価な料金設定や、食材費などの実費のみの場合もあります。
通所型サービス費用の目安
通所型サービスも、利用時間や内容によって料金が設定されています。食費やおやつ代、送迎費用などが別途かかる場合が多いです。
- デイサービス(要支援1・2認定者):
1回あたり数百円~千円台(例:3時間以上5時間未満、5時間以上7時間未満など、時間によって料金が異なります)。
これに加えて、食費(1食数百円程度)や、おむつ代、レクリエーション材料費などが実費でかかる場合があります。
- 住民主体型サービス:
地域の体操教室などでは、1回数百円程度の参加費や、材料費などの実費のみの場合が多いです。
利用限度額(支給限度額)について
要支援1・2認定者には、介護保険サービス全体で利用できる「支給限度額」が月ごとに定められています。この限度額の範囲内でサービスを利用すれば、自己負担は1割(所得により2割または3割)となります。限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分の費用は全額自己負担となります。
事業対象者の方については、市町村が独自に利用回数や利用できるサービスの種類に制限を設けている場合があります。支給限度額の考え方が要支援認定者とは異なるため、利用前にぜひ確認が必要です。
正確な費用や利用できるサービスの内容については、お住まいの地域の地域包括支援センターや市町村の介護保険担当窓口に相談するのが最も確実です。個別の状況に応じた最適なプランを提案してもらえますので、ぜひ積極的に活用してください。
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