在宅看取りの費用について調べているあなたは、今きっと大切な方のこと、そして将来への金銭的な不安を感じているはずです。ご家族を自宅で看取るという選択は、温かく尊い決断である一方、様々な費用が発生するため、その準備は大きな負担になりかねません。
このページでは、在宅看取りにかかる費用の内訳、保険の適用範囲、公的な支援、そして見落としがちな隠れた費用まで、具体的な金額の目安とともに詳しく解説します。費用は地域や利用するサービスによって大きく異なりますので、あくまで参考値として捉え、焦らず、一つずつ確認していきましょう。

2024年最新版:在宅看取りの費用・相場まとめ|地域差・追加費用も解説
自宅で大切な人を看取る「在宅看取り」は、住み慣れた場所で最期を迎えたいという本人の希望や、家族の「そばにいてあげたい」という願いを叶える選択肢として注目されています。しかし、病院での看取りとは異なり、医療費や介護費、そして看取り体制を整えるための費用など、その内訳は複雑です。
この章では、在宅看取りにかかる費用全体の目安と、この記事でわかることをご紹介します。
この記事でわかること
- 在宅看取りの具体的な費用内訳と、訪問診療・訪問看護の費用相場
- 医療費・介護費における保険適用範囲と自己負担の考え方
- 費用を抑えるための公的支援や制度の具体的な活用方法
- 見落としがちな隠れた追加費用の実態と、その対策
- 地域による費用の違いや、安くなる交渉タイミング
在宅看取りの費用の内訳|何にいくらかかるのか
在宅看取りにかかる費用は、主に「医療費」「介護費」「その他の費用」に分けられます。これらの費用には、医療保険や介護保険が適用されるものと、自己負担となるものがあります。特に訪問診療や訪問看護の利用頻度によって、月々の費用は大きく変動します。
医療費(訪問診療・訪問看護など)の費用相場
在宅看取りにおける医療費の多くは、医師による「訪問診療」と看護師による「訪問看護」が占めます。これらのサービスは、患者さんの状態や利用頻度、時間帯によって費用が異なります。
- 訪問診療の費用:
- 医師が定期的に自宅を訪問して診察や処置を行うサービスです。月2回の定期訪問で、医療保険が適用される場合、自己負担額は月額7,000円~20,000円程度が目安です。緊急時の往診や深夜・早朝の訪問には別途加算が発生します。
- 訪問診療の費用は、診療内容や回数、時間帯によって変動するため、事前に医療機関に確認することが重要です。
- 訪問看護の費用:
- 看護師が自宅を訪問し、医療処置や身体介護、療養上の相談などを行うサービスです。介護保険が適用される場合と医療保険が適用される場合があります。
- 週に数回の訪問で、自己負担額は月額5,000円~15,000円程度が目安です。利用時間やサービス内容、専門性によって費用は変わります。
- 薬代、医療材料費:
- 処方される薬や、点滴、ガーゼなどの医療材料も費用に含まれます。これらも医療保険の適用対象ですが、一部自己負担が発生します。
介護費(訪問介護・福祉用具など)の費用相場
要介護認定を受けている場合、介護保険サービスを利用できます。在宅看取りを支える介護サービスには、訪問介護や福祉用具のレンタルなどが含まれます。
- 訪問介護の費用:
- ヘルパーが自宅を訪問し、身体介護(入浴、排せつ、食事介助など)や生活援助(調理、掃除、買い物など)を行います。
- 利用頻度やサービス内容に応じて費用は変動しますが、介護保険適用の場合、自己負担額は月額5,000円~30,000円程度が目安です。
- 福祉用具レンタル・購入費:
- ベッドや車椅子、手すりなど、在宅生活を支える福祉用具のレンタル費用も介護保険の対象です。自己負担割合に応じて費用が発生します。
- 住宅改修費:
- 手すりの設置や段差の解消など、自宅を改修する費用も、条件を満たせば介護保険から助成を受けられます。
その他の費用(看取り介護加算、緊急時訪問など)
在宅看取りでは、医療・介護の基本サービス以外にも、特別な加算が発生することがあります。
- 看取り介護加算:
- 訪問看護や訪問介護事業所が、利用者さんの看取り期に合わせた手厚いケアを提供した場合に加算される費用です。
- 緊急時訪問、24時間対応体制加算:
- 急な体調変化に対応するための緊急訪問や、24時間体制で相談・対応できる体制を整えている事業所の場合に加算されることがあります。
これらの費用は、サービス提供体制や利用者の状態によって大きく変わるため、複数の事業者に相談し、見積もりを取ることが大切です。
| 項目 | 最低額の目安(月額) | 最高額の目安(月額) | 平均額の目安(月額) |
|---|---|---|---|
| 訪問診療(医師) | 7,000円 | 20,000円 | 12,000円 |
| 訪問看護(看護師) | 5,000円 | 15,000円 | 9,000円 |
| 訪問介護(ヘルパー) | 5,000円 | 30,000円 | 15,000円 |
| 薬代・医療材料費 | 2,000円 | 10,000円 | 5,000円 |
| 福祉用具レンタル費 | 1,000円 | 5,000円 | 3,000円 |
| 合計(自己負担割合1割の場合) | 20,000円 | 80,000円 | 45,000円 |
※上記の費用は自己負担割合1割の場合の参考値・目安です。医療保険・介護保険の適用状況、利用回数、サービス内容、地域によって大きく異なります。必ず複数の医療機関・介護事業者に確認してください。

地域別相場|都市部と地方でこれだけ違う在宅看取り費用
在宅看取りにかかる費用は、地域によって大きく異なることがあります。特に都市部と地方では、サービス提供体制や人件費、交通費などの違いが費用に反映される傾向があります。
都市部(東京・大阪など)の在宅看取り費用相場
都市部では、医療機関や介護事業所の数が多く、選択肢が豊富であるというメリットがあります。しかし、その一方で、人件費や地代家賃が高いため、サービス料金も高めに設定される傾向があります。
- 具体的な費用差の根拠:
- 人件費: 都市部の医療・介護スタッフの給与水準は地方よりも高い傾向にあり、それがサービス料金に上乗せされます。
- 事業所の運営コスト: オフィス賃料や交通費なども高いため、全体的な運営コストが高くなります。
- サービス提供の多様性: 専門性の高いサービスや、24時間体制での手厚いサポートなど、多様なサービスが提供されている分、費用が高くなるケースもあります。
都市部での在宅看取りの自己負担額は、月額で30,000円~80,000円程度が目安となることがあります。
地方(過疎地域など)の在宅看取り費用相場
地方では、医療機関や介護事業所の数が限られていることが多く、サービス選択肢が少ない場合があります。しかし、全体的に人件費や運営コストが抑えられるため、サービス料金は都市部よりも安価になる傾向があります。
- 具体的な費用差の根拠:
- 人件費・運営コスト: 都市部と比較して低く抑えられるため、サービス料金も手頃になることがあります。
- サービス提供体制: 事業所が少ない地域では、緊急時対応や24時間体制のサービスが限られる場合があり、その分加算が少なくなることもあります。
- 交通費: 訪問先が遠方の場合、交通費が別途加算されることがありますが、全体的な基本料金は都市部より低い傾向にあります。
地方での在宅看取りの自己負担額は、月額で20,000円~60,000円程度が目安となることがあります。
費用交渉のタイミングとポイント
在宅看取りの費用は、医療機関や介護事業所によって多少の差があるため、事前に複数の事業者から見積もりを取り、比較検討することが重要です。
- 初期相談時: サービス内容や費用について詳しくヒアリングし、不明な点は積極的に質問しましょう。
- サービス内容決定時: どのようなサービスをどのくらいの頻度で利用するかを具体的に決める際に、費用の内訳を詳細に確認し、不要なサービスがないか検討します。
- 値引き交渉:
- 「値引き」というよりは、「サービス内容の調整」や「プランの見直し」という形で相談するのが現実的です。例えば、訪問回数を減らす、利用する福祉用具を見直すなどの方法が考えられます。
- 複数の事業所の見積もりを提示し、「他社ではこのようなプランも提案されているが、御社ではどうか」と相談してみるのも一つの方法です。
- まずは担当のケアマネジャーや相談員に、費用に関する悩みや希望を率直に伝え、相談に乗ってもらうことが大切です。
在宅看取りの費用を安くする方法|公的支援・補助金も活用
在宅看取りには費用がかかりますが、国や自治体による様々な公的支援制度や補助金があります。これらを上手に活用することで、自己負担額を大幅に軽減できる可能性があります。
医療保険・介護保険の活用
日本の医療保険制度と介護保険制度は、在宅看取りにおける費用負担を軽減するための重要な柱です。
- 高額療養費制度:
- ひと月の医療費の自己負担額が一定の上限額を超えた場合、その超えた分が払い戻される制度です。上限額は所得や年齢によって異なります。
- 在宅看取りでは、訪問診療や訪問看護の利用が頻繁になるため、この制度の適用を受けるケースが多くなります。
- 高額介護サービス費制度:
- ひと月の介護サービス費の自己負担額が一定の上限額を超えた場合、その超えた分が払い戻される制度です。こちらも所得や世帯構成によって上限額が設定されています。
- 訪問介護や福祉用具レンタルなど、介護保険適用サービスを多く利用する場合に役立ちます。
- 自己負担割合について:
- 医療保険・介護保険ともに、所得に応じて自己負担割合が1割、2割、3割と定められています。ご自身の自己負担割合を確認し、費用計画を立てましょう。
地方自治体の補助金・助成金
国が定める制度の他に、各地方自治体(市区町村)が独自に在宅医療や在宅介護を支援するための補助金や助成金制度を設けている場合があります。
- 具体的な制度の例:
- 「在宅医療推進助成金」「在宅介護支援手当」「おむつ代助成」など、名称や内容は自治体によって多岐にわたります。
- 例えば、東京都世田谷区では「世田谷区在宅医療・介護連携支援センター」を通じて情報提供を行っており、各自治体のウェブサイトや地域包括支援センターで確認できます。
- お住まいの地域の役所や地域包括支援センターに問い合わせて、利用できる制度がないか確認してみましょう。
民間のサービス活用と費用削減チェックリスト
公的支援だけでなく、民間のサービスを賢く利用したり、無駄な出費を抑えたりすることも重要です。
- 費用削減チェックリスト
- □ 複数の医療機関・介護事業所の見積もりを比較しましたか?
- □ 医療保険・介護保険の自己負担割合を確認し、高額療養費・高額介護サービス費制度の対象になるか確認しましたか?
- □ お住まいの市区町村で利用できる独自の補助金・助成金がないか確認しましたか?
- □ ケアマネジャーや医療ソーシャルワーカーに、費用に関する相談をしましたか?
- □ 不要なサービスや、代替可能な安価なサービスがないか、サービス内容を見直しましたか?
- □ 福祉用具はレンタルでまかなえるものを中心に選びましたか?
- □ 可能な範囲で家族が担える役割を検討しましたか?
- □ 死亡診断書の発行費用や遺体搬送費用など、看取り後の費用も考慮に入れていますか?
- □ 終末期医療に関する事前指示書(リビングウィル)を作成し、希望しない医療行為による費用発生を防ぎましたか?

隠れた追加費用|よくある追加費用ワースト5
在宅看取りを計画する上で、医療費や介護費の他に、見落としがちな「隠れた追加費用」が存在します。これらの費用を事前に把握しておくことで、予期せぬ出費に慌てずに済みます。
医療・介護保険適用外の費用
全てのサービスが保険適用となるわけではありません。特に以下の項目は自己負担となることが多いです。
- 交通費、時間外料金、深夜料金:
- 訪問診療や訪問看護で、事業所から自宅までの距離が遠い場合や、深夜・早朝、休日に緊急訪問を依頼した場合に、別途交通費や時間外加算が発生することがあります。
- 医療材料費の一部、日用品費:
- 保険適用外の特別な医療材料や、日常生活で使うおむつ、清拭用品、栄養補助食品などは自己負担となります。これらは意外と高額になることがあるため、事前にリストアップして費用を見積もっておくと良いでしょう。
- 住宅改修費の一部:
- 介護保険の助成対象とならない大規模なリフォームや、個人の趣味嗜好による改修費用は全額自己負担です。
看取り後の費用
在宅看取りが終了した後も、いくつかの費用が発生します。これらは看取りの費用とは別に計画しておく必要があります。
- 死亡診断書作成費用:
- 在宅で看取った場合、担当医に死亡診断書(死体検案書)を作成してもらう必要があります。費用は数千円~1万円程度が目安です。
- 遺体搬送費用:
- 自宅から葬儀場や安置施設へご遺体を搬送する費用がかかります。距離や時間帯、業者によって異なりますが、数万円~10万円程度が目安です。
- 葬儀費用、遺品整理費用:
- 看取り後の最も大きな出費となるのが葬儀費用です。規模や形式によって数百万円かかることもあります。また、遺品整理や特殊清掃が必要な場合も別途費用がかかります。
よくある追加費用ワースト5
在宅看取りで予期せぬ出費となりがちな項目をワースト順にまとめました。
- おむつ・清拭用品などの日用品費: 月額数千円~1万円以上かかることも。
- 緊急時訪問・時間外加算: 休日や深夜の急変時に数千円~1万円程度の加算が発生。
- 看取り後の遺体搬送費: 数万円~10万円程度。
- 医療保険適用外の医療材料費: 数千円~数万円。
- 死亡診断書作成費用: 数千円~1万円程度。
これらの隠れた費用も考慮に入れ、全体的な費用計画を立てることが重要です。
在宅看取りの費用を抑えた実例と制度活用
在宅看取りの費用は、制度を上手に活用することで大きく抑えることが可能です。ここでは、具体的な制度活用事例と、弁護士の見地からのアドバイスを交えて解説します。
高額療養費制度と高額介護サービス費制度を併用した事例
あるケースでは、末期がんの患者さんが自宅で最期を迎えるため、訪問診療・訪問看護を週に複数回、訪問介護も毎日利用していました。医療費と介護費の自己負担額がそれぞれ高額になったものの、高額療養費制度と高額介護サービス費制度を併用することで、最終的な自己負担額は月額で数万円に抑えられました。
- ポイント: 医療費と介護費は別々に計算されますが、世帯合算の制度(高額医療合算介護サービス費制度)もあります。自己負担額が上限を超えた分は払い戻されるため、積極的に申請することが重要です。
地方自治体の助成金を活用した事例
別のケースでは、人工呼吸器を使用する難病患者さんが在宅で療養していました。この方は、国が定める難病医療費助成制度に加え、お住まいの市町村が設けている「在宅医療機器維持管理費助成金」と「おむつ代助成」を申請し、毎月の医療機器関連費用と日用品費の一部を軽減できました。
- ポイント: 地方自治体の助成金制度は、お住まいの地域によって内容が大きく異なります。地域包括支援センターや役所の窓口で、利用できる制度がないか積極的に相談してみましょう。
専門家からのアドバイス(弁護士の見地を組み込む)
在宅看取りの準備を進める中で、費用だけでなく、相続や遺言に関する法的な問題に直面することもあります。この点について、弁護士の見地からいくつか重要なポイントをご紹介します。
遺言書作成の重要性
専門家によると、遺言書は「全財産を〇〇に」という記述だけでは不十分なケースがあります。「全財産を長男に相続させる」といった遺言書は一見有効に見えますが、遺留分(いりゅうぶん)を無視した内容だと、他の相続人から遺留分侵害額請求を受けるリスクがあります。遺言書作成時は必ず遺留分を考慮した内容にすることが実務上の鉄則です。遺留分は配偶者・子・直系尊属が対象で、兄弟姉妹には遺留分がありません(民法1042条)。「遺言書があれば揉めない」という誤解も多いですが、内容次第では遺留分侵害額請求で争いが生じる可能性も。
【関連】遺言書作成の注意点について詳しくはこちら
相続放棄の期限
弁護士の見地からは、相続放棄の期限は「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」とされています。これは死亡日からではなく、相続人が被相続人の死亡を知った日が起算点となります。また、借金の存在を知らなかった場合など、借金の存在を知った日から起算できるケースもあり、期限を過ぎても放棄できる場合があります(民法915条・919条、最高裁昭和59年4月27日判決)。3ヶ月の伸長申請(家庭裁判所)も可能なので、放棄を検討するなら早めに弁護士へ相談しましょう。「3ヶ月過ぎた=放棄できない」という誤解は必ずしも正しくありません。
【関連】相続放棄の手続きについて詳しくはこちら
認知症の親が作った遺言書の有効性
専門家によると、遺言能力(意思能力)がない状態で作成された遺言書は無効です。ただし、「認知症=遺言無効」ではなく、作成時点の判断能力が問題となります。軽度認知症でも意思能力があれば有効な遺言は作れます。公証人が関与する公正証書遺言は意思確認プロセスがあるため、有効性が高いとされています(民法963条、判例多数)。遺言作成時にはかかりつけ医の診断書やカルテを保存しておくと、後の紛争防止に役立ちます。認知症診断後も、軽度であれば法律行為が認められるケースは多いのです。
よくある質問(FAQ)
在宅看取りの費用や手続きに関して、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q1. 在宅看取りの費用は月々どのくらいですか?
A1. 在宅看取りにかかる月々の費用は、利用者さんの状態や利用するサービスの種類、頻度、自己負担割合によって大きく異なりますが、医療保険や介護保険を適用した場合、自己負担額は月額2万円~8万円程度が目安です。特に訪問診療や訪問看護の回数が多いほど費用は高くなる傾向があります。正確な費用を知るためには、担当のケアマネジャーや医療機関、介護事業所に具体的な見積もりを依頼することが重要です。
Q2. 訪問診療と訪問看護は、どちらが費用が高いですか?
A2. 一般的に、**訪問診療(医師の診察)の方が、訪問看護(看護師のケア)よりも1