介護の転院を検討されているあなたは、今きっと多くの不安を抱えていることと思います。大切なご家族の体調はもちろん、費用や手続きの複雑さに戸惑うのは当然のことです。このプロセスは決して一人で抱え込むものではありません。
この記事では、介護における転院の手続き順序、かかる費用とその内訳、そして費用を抑えるためのポイントまで、詳しく解説します。
【PR】本記事にはプロモーションが含まれます。介護の転院が必要になる主なケースと判断のポイント
介護が必要な方が転院を検討するケースは多岐にわたります。病状の変化や生活環境の変化、現在の施設でのケア内容への不満など、理由はさまざまです。
急性期病院から療養病床への転院
病気や怪我で入院していた急性期病院(治療が中心の病院)から、病状が安定し、長期的な療養やリハビリテーションが必要になった場合に、療養病床や介護医療院への転院が検討されます。急性期病院は治療が目的のため、長期入院が難しいことが多く、退院・転院を促されることが一般的です。
施設間の転院や在宅への移行
現在の介護施設でのケア内容が合わない、費用負担が大きい、あるいは家族の近くに移りたいといった理由で、別の介護施設への転院を希望するケースもあります。また、病院や施設から「住み慣れた自宅で過ごしたい」という本人の強い希望や家族の意向により、在宅介護への移行を検討することもあります。
転院の判断基準と「人生会議(ACP)」の重要性
転院の判断は、本人の意思、病状、家族の状況、利用できる社会資源(介護保険サービスや施設など)を総合的に考慮して行われます。特に重要なのが、本人の意思を尊重することです。
医師・緩和ケア専門家によると、アドバンス・ケア・プランニング(ACP、人生会議)は、終末期医療の選択だけでなく「どのように生きたいか」「大切にしていることは何か」を確認するプロセスです。延命治療の拒否・受け入れだけでなく、痛みへの対処方針・最期を迎える場所・誰に看取ってほしいかなども含まれます。
転院の判断においても、本人が「どこで、どのようなケアを受けたいか」を事前に話し合い、記録しておくことは非常に重要です。ACPは一度作成したら終わりではなく、状態が変化するたびに見直すことが大切です。
厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」にも示されている通り、これは高齢者や末期患者だけのものではなく、40〜50代から準備を始めることが推奨されています。

介護転院の費用内訳|何にいくらかかるのか
介護の転院にかかる費用は、転院先の種類(病院、介護老人保健施設、特別養護老人ホームなど)、利用するサービス、地域によって大きく異なります。ここでは主な費用項目とその目安をご紹介します。
転院にかかる主な費用項目
介護の転院費用は、主に以下の項目に分けられます。
- 施設入居費用(初期費用):入居一時金、敷金、保証金など。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などで発生します。
- 月額利用料:家賃、食費、管理費、光熱水費など。施設の形態やサービス内容によって大きく変動します。
- 介護サービス費:介護保険が適用されるサービス(身体介護、生活援助など)の自己負担分。所得に応じて1〜3割負担となります。
- 医療費:転院先の病院で発生する診察費、薬代など。介護施設によっては提携医療機関の受診費が含まれる場合もあります。
- 雑費・日用品費:おむつ代、衣類、理美容代、レクリエーション費など。
- 搬送費:救急車以外の手段で転院する場合の移送費用。
介護保険の適用範囲と自己負担の目安
介護サービス費は介護保険が適用され、所得に応じて自己負担割合が決まります(1割、2割、3割)。しかし、食費や居住費、日常生活費などは介護保険の対象外であり、全額自己負担となります。
費用比較テーブル
以下に、介護転院先の種類ごとの一般的な費用目安をまとめました。
参考値・地域差あり・複数業者に確認が必要です。記載の費用はあくまで目安であり、地域や施設、個人の状態によって大きく異なります。必ず複数の施設に直接確認し、比較検討することをお勧めします。
| 施設の種類 | 初期費用目安 | 月額費用目安(自己負担分) | 主な費用内訳 |
|---|---|---|---|
| 介護老人保健施設(老健) | 0円〜数十万円程度 | 20万円〜35万円程度 | 施設サービス費(1〜3割)、食費、居住費、日用品費 |
| 特別養護老人ホーム(特養) | 0円 | 10万円〜20万円程度 | 施設サービス費(1〜3割)、食費、居住費、日用品費 |
| 介護医療院 | 0円〜数十万円程度 | 20万円〜40万円程度 | 医療費(1〜3割)、施設サービス費(1〜3割)、食費、居住費、日用品費 |
| 有料老人ホーム | 0円〜数千万円程度 | 15万円〜50万円以上 | 入居一時金、月額利用料(家賃、食費、管理費、介護サービス費、光熱水費など) |
| サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 0円〜数百万円程度 | 15万円〜35万円程度 | 敷金、家賃、食費、生活支援サービス費、介護サービス費 |
| グループホーム | 0円〜数十万円程度 | 15万円〜30万円程度 | 入居一時金、家賃、食費、管理費、介護サービス費 |

地域別相場|都市部と地方でこれだけ違う転院費用
介護施設の費用は、地域によって大きく差が出ます。特に都市部と地方では、家賃や人件費の違いが直接費用に反映されるため、注意が必要です。
介護サービス費の地域差
介護保険サービスには「地域区分」が設定されており、人件費が高い都市部ほど介護サービス費の単価が高くなります。そのため、同じサービスを受けても、都市部の方が自己負担額が高くなる傾向にあります。例えば、東京都特別区ではサービス単価が1.12倍に設定されているのに対し、地方では1.00倍やそれ以下の地域もあります(2026年時点の地域区分による)。
病院・施設の立地による費用の変動
施設の家賃や土地代は、都市部の駅近や人気エリアでは高額になりがちです。これが月額利用料や入居一時金に上乗せされるため、地方の郊外にある施設と比較すると、費用が数万円から数十万円単位で異なることは珍しくありません。
例えば、東京都内の有料老人ホームの月額費用が平均30万円程度であるのに対し、地方都市では20万円程度が目安となることもあります。
介護転院の費用を安くする方法|公的支援・補助金も活用
介護転院にかかる費用は高額になることもありますが、さまざまな制度や工夫で負担を軽減することが可能です。
ケアマネジャーとの連携と選び方
社会福祉士・ケアマネジャーによると、ケアマネジャー(介護支援専門員)はケアプランを作成する重要な役割を持ちますが、担当できる利用者数に上限があるため、繁忙なケアマネは対応が遅くなりがちです。初回面談で①連絡の取りやすさ、②専門分野(医療系か福祉系か)、③担当件数、④得意なサービス種別を確認することが重要です。
質の高いケアマネジャーは、適切な施設選びや公的支援制度の活用に精通しており、費用を抑えるためのアドバイスをしてくれます。合わないと感じたら地域包括支援センターに相談して変更することも可能です。
高額介護サービス費制度・高額医療費制度の活用
- 高額介護サービス費制度:介護保険サービス費の自己負担額が、所得に応じた上限額を超えた場合、超えた分が払い戻される制度です。
- 高額医療費制度:医療機関や薬局で支払った医療費の自己負担額が、所得に応じた上限額を超えた場合、超えた分が払い戻される制度です。
- 高額医療・高額介護合算療養費制度:医療費と介護サービス費の両方を合わせた自己負担額が、年間(8月1日〜翌年7月31日)の上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。
これらの制度を積極的に活用することで、家計の負担を大きく軽減できる可能性があります。不明な点は、お住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談しましょう。
費用削減チェックリスト
介護転院の費用を抑えるための確認リストです。一つずつ確認してみましょう。
□ 転院先の施設形態は適切か(費用とサービス内容のバランス)
□ 複数の施設から見積もりを取り比較検討したか
□ 介護保険の自己負担割合を確認し、減額制度の対象か確認したか
□ 高額介護サービス費制度の申請準備はできているか
□ 高額医療費制度の申請準備はできているか
□ 高額医療・高額介護合算療養費制度の対象になるか確認したか
□ 所得が低い場合、介護保険負担限度額認定証の申請を検討したか(居住費・食費の負担軽減)
□ 各自治体独自の補助金や助成金制度がないか確認したか
□ ケアマネジャーと連携し、費用に関するアドバイスを受けたか
□ 不要なサービスが含まれていないかケアプランを見直したか
□ 在宅介護への移行も視野に入れ、訪問看護・訪問介護の利用を検討したか

隠れた追加費用|転院時に見落としがちなコストワースト5
転院費用を考える際、月額利用料や入居一時金だけでなく、見落としがちな「隠れた追加費用」にも注意が必要です。これらが積み重なると、想定以上の負担になることがあります。
転院時の搬送費用
救急車は緊急時のみ利用できるため、病状が安定している場合の転院では、民間の介護タクシーや福祉車両を利用することになります。その費用は移動距離や利用時間によって異なり、数千円から数万円程度かかる場合があります。
医療費以外の雑費・消耗品費
おむつ代、パジャマ、タオル、入浴補助具などの日用品や消耗品は、施設によっては自己負担となることが多いです。また、理美容代やクリーニング代、レクリエーション参加費なども別途請求される場合があります。これらは月々数千円から1万円程度かかることがあります。
転院先での初期費用
入居一時金や敷金以外にも、施設によっては「入居準備金」「生活支援費」などの名目で、転院時にまとまった費用が必要となる場合があります。また、家具や家電の購入、カーテンの取り付けなど、新たな生活環境を整えるための費用も発生します。
在宅看取りを目指す場合の準備費用
医師・緩和ケア専門家によると、在宅看取りを実現するには①かかりつけ医(訪問診療医)との事前合意、②訪問看護ステーションとの契約、③家族全員の意思統一が不可欠です。特に「最期は病院に運ばない」という家族全員の合意なしには、救急車を呼んでしまい病院死になるケースが多いです。
在宅看取りは家族の負担が大きいと思われがちですが、訪問看護・訪問介護を組み合わせることで負担軽減が可能です。この場合、介護ベッドや車椅子、ポータブルトイレなどの福祉用具のレンタル・購入費用、住宅改修費用(手すり設置など)が発生します。これらは介護保険の対象となるものもありますが、自己負担分は発生します。
よくある追加費用ワースト5(実額目安)
- おむつ代・消耗品費:月額5,000円〜15,000円程度
- 介護タクシー・搬送費:1回あたり5,000円〜30,000円程度(距離による)
- 理美容代・クリーニング代:月額2,000円〜5,000円程度
- 医療費の自己負担分:月額5,000円〜20,000円程度(高額療養費制度適用前)
- レクリエーション・イベント参加費:1回あたり500円〜3,000円程度
費用を抑えた転院の実例と公的支援の活用
具体的な制度を活用することで、費用負担を軽減した転院の実例は少なくありません。
介護保険制度を最大限活用したケース
例えば、要介護3のAさんの場合。当初、月額30万円の有料老人ホームを検討していましたが、ケアマネジャーのアドバイスで、まずは介護老人保健施設(老健)に入所し、リハビリテーションを受けながら特別養護老人ホーム(特養)への入所を待つことにしました。老健の月額費用は25万円程度でしたが、高額介護サービス費制度と介護保険負担限度額認定証(所得が低い方向けの居住費・食費軽減制度)を申請した結果、自己負担額が月額10万円程度に抑えられました。特養への入所後も同様の制度を活用し、費用を抑えることができました。
地域独自の補助金・助成金の事例
一部の自治体では、高齢者や要介護者の転居・転院を支援するための独自の補助金や助成金制度を設けている場合があります。例えば、介護ベッドの購入費用の一部助成や、住宅改修費用の補助などが挙げられます。これらの情報は、お住まいの市区町村の介護保険課や地域包括支援センターで確認できます。
複数のケアマネジャーに相談するメリット
前述の通り、ケアマネジャーは介護の専門家であり、費用を抑えるための知識も豊富です。複数のケアマネジャーに相談することで、それぞれの得意分野やネットワークを活かした多様な選択肢や情報が得られることがあります。
例えば、医療系に強いケアマネジャーは医療費控除や高額医療費制度に詳しく、福祉系に強いケアマネジャーは地域の福祉サービスや補助金情報に詳しいといった違いがあります。
介護転院の手続き順序と医療情報の引き継ぎ
介護の転院は、単に場所を移すだけでなく、多くの手続きと情報共有が必要です。スムーズな転院のために、順序立てて進めることが大切です。
転院先の選定と情報収集
まず、本人の状態や希望、家族の状況に合った転院先(病院、施設、在宅サービスなど)を検討します。
* 情報収集: インターネット、自治体の窓口、地域包括支援センター、ケアマネジャーなどから情報を集めます。
* 見学・面談: 気になる施設があれば、必ず見学に行き、担当者と面談して詳しい説明を受けましょう。費用、サービス内容、施設の雰囲気などを確認します。
病院・施設との連携と必要書類
転院先が決まったら、現在の病院や施設、そして転院先の担当者と連携を取り、手続きを進めます。
* 相談: 現在の病院の相談員やケアマネジャーに転院の意向を伝え、協力を依頼します。
* 必要書類の準備: 転院には、診療情報提供書、看護サマリー、介護保険被保険者証、健康保険証、住民票、印鑑など、多くの書類が必要です。事前にリストアップし、漏れがないように準備しましょう。
* 契約: 転院先の施設との契約手続きを行います。重要事項説明書をよく読み、疑問点は必ず質問して解消しておきましょう。
医療情報の確実な引き継ぎ
転院において最も重要なことの一つが、医療情報の確実な引き継ぎです。
* 情報提供書: 現在の主治医に、これまでの病歴、治療内容、現在の病状、処方薬、アレルギー情報などをまとめた診療情報提供書(紹介状)を作成してもらいます。
* 看護サマリー: 看護師からは、日常生活での注意点、必要なケア、コミュニケーションに関する情報などをまとめた看護サマリーを受け取ります。
* 家族からの補足: 家族だからこそ知っている、本人の性格や好み、過去の病歴で医師には伝えていないことなども、転院先の担当者に伝えておくと、より適切なケアにつながります。
よくある質問(FAQ)
Q1: 転院のタイミングはどのように判断すれば良いですか?
A1: 転院のタイミングは、本人の病状の安定度、現在の病院・施設の退院・転院方針、転院先の受け入れ状況によって判断します。急性期病院では治療が一段落すると退院を促されることが多いため、早めにケアマネジャーや病院の相談員と相談を始めましょう。
Q2: ケアマネジャーはいつから依頼できますか?
A2: ケアマネジャーは、要介護認定または要支援認定を受けた後、いつでも依頼できます。入院中から病院の相談員を通じて紹介してもらうことも可能です。転院を検討し始めたら、なるべく早めに相談することをおすすめします。
Q3: 転院費用は医療費控除の対象になりますか?
A3: 転院にかかる費用の中で、医師の指示に基づき、医療を受けるために必要な移送費は医療費控除の対象となる場合があります。ただし、自家用車での移動費や、付き添いの家族の交通費などは対象外です。詳細は税務署や税理士にご相談ください。
Q4: 遠方の病院・施設への転院は可能ですか?
A4: 遠方の病院・施設への転院は可能です。ただし、現在の病院やケアマネジャーとの連携、転院先の情報収集、見学などがより困難になる場合があります。また、介護保険の地域区分による費用差も考慮する必要があります。
Q5: 急性期病院からスムーズに転院するにはどうすれば良いですか?
A5: 急性期病院からスムーズに転院するには、入院早期から病院の相談員や地域連携室と密に連携を取り、退院後の生活や転院先について具体的に話し合うことが重要です。ケアマネジャーを早めに選定し、情報収集や手続きのサポートを依頼することも有効です。
介護の転院や施設選びは、費用だけでなく、ご本人の状態やご家族の希望など、多岐にわたる検討が必要です。一人で抱え込まず、まずは専門業者や窓口へ相談してみましょう。具体的な見積もりやアドバイスを得ることで、焦らず比較検討を進められます。
まとめ|焦らず一つずつ確認しましょう
介護の転院は、ご本人にとってもご家族にとっても、大きな転機となります。費用面での不安は尽きないかもしれませんが、利用できる制度や専門家のサポートを上手に活用することで、負担を軽減できる道は必ずあります。
この記事でご紹介した費用や手続きの情報を参考に、焦らず、一つずつ確認しながら、ご本人にとって最善の選択ができるよう進めていきましょう。
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この記事の監修について
本記事は「お葬式.info 編集部」が、行政書士・司法書士・葬儀業界経験者・僧侶を含む監修者チームの助言のもと、公的統計・法令・専門書を根拠に作成しています。個別のケースについては、必ず専門家にご相談ください。編集方針・監修者一覧は編集ポリシーをご確認ください。
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