大切な方を亡くされた悲しみの中で、葬儀やその準備についてお調べになっていることと存じます。特に「エンバーミング」という言葉を聞き、その費用や必要性について不安を感じていらっしゃるかもしれません。
エンバーミングは、故人様を美しく、そして衛生的に保つための処置であり、ご遺族が故人様とゆっくりお別れをする時間を大切にするために選ばれることがあります。しかし、その費用は決して安いものではなく、何にいくらかかるのか、本当に必要なのか、迷われるのは当然のことです。
この記事では、エンバーミングの費用相場や内訳、その役割やメリット・デメリット、そして費用を抑えるための具体的な方法まで、詳しく解説します。焦らず、一つずつ確認していきましょう。
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この記事でわかること
- エンバーミングの基本的な費用相場と内訳
- エンバーミングの役割やメリット・デメリット
- 費用を抑えるための具体的な方法と注意点
- エンバーミングが必要かどうかの判断基準
エンバーミングとは?その役割と目的
エンバーミングとは、ご遺体の腐敗を防ぎ、生前の安らかな姿に近づけるための衛生保全処置です。専用の設備と技術を持つ「遺体衛生保全士」によって行われます。
主な目的は以下の通りです。
- 腐敗の防止と衛生的な保全: ご遺体の体液を排出し、防腐剤を注入することで腐敗を遅らせ、感染症のリスクを低減します。
- 生前の姿への修復: 病気や事故、長期間の闘病などで変化してしまったお顔や体を、生前の穏やかな状態に近づけます。損傷がある場合は修復処置も行われます。
- ご遺族がゆっくりお別れできる時間の確保: 長時間の安置や、遠方からのご親族の到着を待つ間も、安心して故人様と過ごせるようになります。
エンバーミングを行うことで、ご遺族は故人様との最後の時間をより穏やかに、そして衛生的な環境で過ごすことができるのです。
エンバーミングの基本費用と相場
エンバーミングの費用は、一般的に15万円から25万円程度が目安となります(2026年時点)。ただし、地域や業者、故人様の状態によって大きく異なります。この費用には、施術そのものの費用だけでなく、使用する薬剤や消耗品、専門技術者の人件費などが含まれます。
| 項目 | 最低額の目安 | 最高額の目安 | 平均額の目安 | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| エンバーミング施術費用 | 150,000円 | 250,000円 | 200,000円 | 基本的な処置一式 |
| 搬送費用(往復) | 20,000円 | 80,000円 | 50,000円 | 距離により変動 |
| 安置費用(数日分) | 10,000円 | 30,000円 | 20,000円 | 施設利用料、ドライアイス等 |
| 修復・化粧費用 | 0円 | 50,000円 | 20,000円 | 故人様の状態による追加料金 |
| 合計(目安) | 180,000円 | 410,000円 | 290,000円 |
※上記はあくまで参考値・目安です。地域・業者によって大きく異なりますので、必ず複数の業者から見積もりを取り、詳細をご確認ください。

この表は一般的な目安であり、故人様の状態や要望によっては追加費用が発生することもあります。例えば、事故などで損傷が大きい場合は、より高度な修復技術が必要となり、費用が高くなる傾向があります。
エンバーミング費用の内訳|何にいくらかかるのか
エンバーミングの費用は、単に「施術」という一言で片付けられるものではありません。いくつかの項目に分かれており、それぞれに費用が発生します。
施術費用
エンバーミング費用の大半を占めるのが、この施術費用です。具体的には、以下のような作業が含まれます。
- ご遺体の洗浄・消毒: 感染症予防のための全身の清拭と消毒。
- 体液の排出と防腐剤の注入: 血管を通して体液を排出し、代わりに防腐効果のある薬剤を注入します。この薬剤が腐敗の進行を遅らせ、ご遺体を衛生的に保ちます。
- 口腔・鼻腔の処置: 感染リスクを抑え、見た目を整えます。
- 顔立ちの整え: 生前の写真などを参考に、表情を穏やかに整え、必要に応じて化粧を施します。
- ヘアセット・着替え: ご遺族の希望に応じて行われます。
これらの作業は専門的な技術と知識を要し、通常数時間かけて行われます。
搬送費用
エンバーミングは専門の施設で行われることが多いため、ご遺体を病院やご自宅から施設へ、そして葬儀会場や火葬場へと搬送する費用が発生します。
- エンバーミング施設への搬送: 故人様が安置されている場所からエンバーミング施設までの搬送。
- エンバーミング施設からの搬送: 処置後、葬儀会場やご自宅などへの搬送。
搬送距離が長くなると、その分費用も高くなります。特に、遠方にある施設を利用する場合や、複数回にわたる搬送が必要な場合は注意が必要です。
その他関連費用
上記の他に、状況に応じて様々な費用が発生することがあります。
- 安置費用: エンバーミングを行う前後の期間、ご遺体を施設に安置する費用です。ドライアイスの使用料などが含まれることもあります。
- 修復費用: 事故や病気でご遺体に大きな損傷がある場合、その修復にかかる費用です。特殊な技術や材料が必要となるため、追加料金が発生することがあります。
- 化粧・着付け費用: より丁寧に化粧を施したり、特殊な着付けを依頼したりする場合に発生します。
- 納体袋・棺のグレードアップ: エンバーミングされたご遺体に適した納体袋や、より上質な棺を選ぶ場合にも費用がかかります。

これらの費用は、葬儀社やエンバーミング業者との契約内容によって含まれる範囲が異なります。見積もりを取る際には、何が費用に含まれていて、何が別途料金となるのかを詳しく確認することが重要です。
地域別相場|都市部と地方でこれだけ違う
エンバーミングの費用は、地域によってある程度の差が見られます。一般的に、都市部の方が地方に比べて費用が高くなる傾向があります。
都市部の費用傾向
東京、大阪、名古屋などの大都市圏では、エンバーミングの費用が地方に比べてやや高めに設定されていることがあります。その背景には、以下のような要因が考えられます。
- 人件費: 都市部は全体的に人件費が高いため、専門技術者の賃金も地方より高くなる傾向があります。
- 施設維持費: 地価や家賃が高い都市部では、エンバーミング施設の維持にかかる費用も高額になります。
- 需要の高さ: 人口が多く、エンバーミングの需要も高いため、価格競争があっても一定の水準を保ちやすいという側面もあります。
例えば、都市部でのエンバーミング施術費用は、平均で20万円〜25万円程度となることが多いでしょう。
地方の費用傾向
地方都市や郊外では、都市部に比べてエンバーミングの費用が比較的抑えられている場合があります。
- 人件費・施設維持費: 都市部と比較して、これらのコストが低い傾向にあります。
- 競争環境: 地方ではエンバーミング施設が少ない地域もあり、競争原理が働きにくい場合もあれば、逆に地域密着型で費用を抑えているケースもあります。
地方でのエンバーミング施術費用は、平均で15万円〜20万円程度が目安となることが多いです。ただし、地方ではエンバーミング施設自体が限られている場合があり、遠方からの搬送が必要となると、その分の搬送費用が高くつく可能性もあります。
地域による費用の違いは、あくまで傾向であり、個々の業者やサービス内容によって大きく変動します。「専門家によると、費用を比較する際には、単に提示された金額だけでなく、何が費用に含まれているのか、追加費用が発生する可能性があるのかを詳細に確認することが重要です」と指摘されています。
エンバーミング費用を安くする方法|比較検討と公的支援
エンバーミングは決して安い費用ではないため、できるだけ負担を抑えたいと考えるのは当然のことです。ここでは、費用を安くするための具体的な方法をご紹介します。
複数の業者から見積もりを取る
最も基本的ながら効果的な方法が、複数の葬儀社やエンバーミング専門業者から見積もりを取ることです。
- 比較検討の重要性: 各業者でサービス内容や料金体系が異なるため、一社だけの見積もりで決めてしまうと、より安価で質の良いサービスを見逃す可能性があります。
- 内訳の確認: 見積もりを比較する際は、総額だけでなく、何が費用に含まれているのか(施術費、搬送費、安置費、修復費など)を詳細に確認しましょう。不明な点があれば、納得がいくまで質問することが大切です。
焦らず、複数の選択肢を比較検討する時間を持つことが、費用を抑える第一歩です。
葬儀プランとの組み合わせを検討する
多くの葬儀社では、エンバーミングを含んだ葬儀プランを提供しています。
- セット割引の可能性: 葬儀とエンバーミングをセットで依頼することで、個別に手配するよりも割引が適用される場合があります。
- 手続きの一元化: 葬儀の準備と同時にエンバーミングの手配も行えるため、ご遺族の手間を減らすことができます。
葬儀社に相談する際に、エンバーミングの希望があることを伝え、プランに含まれる場合の費用について尋ねてみましょう。
公的支援・補助金の活用
エンバーミング自体に直接適用される公的な補助金制度は現在のところありません。しかし、葬儀費用全体を軽減できる公的支援制度はあります。これらの制度を上手に活用することで、結果的にエンバーミングにかかる費用負担を間接的に軽減できる可能性があります。
- 葬祭費(国民健康保険): 国民健康保険の被保険者が亡くなった場合、葬儀を行った方に対し、自治体から葬祭費として一定額が支給されます。支給額は自治体によって異なりますが、一般的に3万円〜7万円程度です(2026年時点)。
- 埋葬料(健康保険): 会社員が加入する健康保険の被保険者、またはその被扶養者が亡くなった場合に支給されます。一律5万円(2026年時点)が支給されます。
これらの制度は、エンバーミングの費用を直接補助するものではありませんが、葬儀費用全体の一部を補填してくれるため、家計の負担を軽減することにつながります。申請には期限があるため、早めに手続きを進めることが大切です。
費用削減チェックリスト
□ 複数のエンバーミング業者・葬儀社から見積もりを取りましたか?
□ 見積もりの内容(施術費、搬送費、安置費、修復費など)を詳細に確認しましたか?
□ 葬儀プランにエンバーミングを含めることで割引がないか確認しましたか?
□ 故人様が加入していた健康保険や自治体の公的支援制度(葬祭費・埋葬料)について確認しましたか?
□ 故人様の状態やご遺族の希望を明確にし、本当に必要な処置だけを選びましたか?
□ 安置期間を短縮することで、安置費用を抑えられないか検討しましたか?

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隠れた追加費用|よくある追加費用ワースト5
エンバーミングの費用を検討する際に注意したいのが、見積もりには含まれていない「隠れた追加費用」です。これらの費用を見落とすと、最終的な支払額が想定よりも高くなってしまうことがあります。
よくある追加費用ワースト5
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安置期間の延長費用:
- エンバーミング後、葬儀までの期間が長くなると、その間の安置費用やドライアイスの追加料金が発生します。一日あたり数千円〜1万円程度が目安です。
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特別な修復・化粧費用:
- 事故や病気でご遺体の損傷が大きかったり、特殊なメイクやヘアセットを希望したりする場合、追加料金がかかることがあります。数万円〜10万円以上になることもあります。
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深夜・早朝の搬送費用:
- 緊急を要する搬送や、深夜・早朝の搬送には、割増料金が適用されることがあります。
- 「専門家によると、搬送の時間帯や距離による料金体系は業者によって異なるため、事前に確認することが重要です」とされています。
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エンバーミング施設への搬送距離による追加費用:
- 故人様が安置されている場所からエンバーミング施設までの距離が遠い場合、基本料金に加えて距離に応じた追加料金が発生します。
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納体袋・棺のグレードアップ:
- エンバーミングを施したご遺体は、通常の納体袋ではなく専用のものを使用することがありますが、より高品質なものを希望すると費用が上がります。また、棺をより豪華なものに変更する際も追加費用が発生します。
これらの追加費用は、見積もりの段階で明確に提示されないこともあります。契約前に、どのような場合にどのような追加費用が発生する可能性があるのかを、業者に詳しく確認しておくことが大切です。
費用を抑えた実例と判断のポイント
エンバーミングは、故人様とのお別れの形を豊かにする選択肢ですが、費用が気になるのも事実です。ここでは、費用を抑えつつ、ご遺族の希望に沿ったお別れを実現した実例と、エンバーミングが必要かどうかの判断ポイントをご紹介します。
事前相談で費用を明確にしたケース
あるご遺族は、故人様が遠方に住む親族の到着を待つ必要があったため、エンバーミングを検討していました。しかし、費用の総額が不安だったため、複数の葬儀社に事前相談を行い、見積もりを取りました。
- 比較検討の結果: A社はエンバーミングと葬儀をセットにすることで割引を提示。B社はエンバーミングは専門業者に依頼し、葬儀は自社で行うプランを提示しました。
- 選択と結果: 最終的にA社のセットプランを選び、総額で約3万円の費用を抑えることができました。また、事前に詳細な見積もりを得たことで、追加費用への不安も軽減され、安心して故人様とのお別れに集中できたといいます。
この事例からわかるように、「実務では、事前相談と複数の見積もり比較が、費用を抑える上で非常に有効な手段です」と専門家は指摘します。
エンバーミングの必要性を判断するタイミング
エンバーミングが必要かどうかは、ご遺族の状況や故人様の状態によって異なります。以下の点を考慮して判断すると良いでしょう。
- 安置期間の長さ:
- 葬儀まで数日以上間がある場合や、遠方からの親族の到着を待つ必要がある場合は、ご遺体の保全のためにエンバーミングが有効です。
- 故人様の状態:
- 病気や事故でご遺体の損傷が激しい場合、エンバーミングによる修復が生前の穏やかな姿を取り戻すのに役立ちます。
- 「専門家によると、ご遺体の状態によっては、エンバーミングによってご遺族の心理的負担が大きく軽減されることがあります」とされています。
- ご遺族の希望:
- 故人様と生前の姿でゆっくりお別れしたい、というご遺族の強い希望がある場合は、エンバーミングを検討する価値があります。
- 感染症への配慮:
- 故人様が特定の感染症で亡くなられた場合、エンバーミングを行うことで衛生的な保全が可能となり、ご遺族や関係者の感染リスクを低減できます。
エンバーミングは故人様への最後のケアであり、ご遺族の心のケアにもつながります。費用だけでなく、その役割とメリットを十分に理解した上で、ご自身の状況に合った判断をすることが大切です。
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よくある質問(FAQ)
Q1: エンバーミングは必ず行わなければならないのでしょうか?
いいえ、エンバーミングは法的に義務付けられているものではありません。ご遺族の希望や必要性に応じて選択するものです。日本で火葬が一般的なため、必ずしもエンバーミングが必須というわけではありませんが、長期間の安置やご遺体の状態によっては検討されることが多いです。
Q2: エンバーミングをすると、ご遺体はどのくらいの期間保存できますか?
エンバーミングを施すことで、ご遺体は通常10日から2週間程度、衛生的に保たれるとされています。故人様の状態や環境にもよりますが、適切に処置されていれば、さらに長期間保存できる場合もあります。ただし、永久的な保存ではありません。
Q3: エンバーミングはどこで受けられますか?
エンバーミングは、専用の設備を持つ「エンバーミングセンター」や、提携する専門施設で行われます。多くの葬儀社がエンバーミングの手配を代行しており、相談窓口となっています。専門の資格を持つ「遺体衛生保全士」が施術を行います。
Q4: エンバーミングの費用15万円は妥当な金額ですか?
15万円という費用は、エンバーミングの基本施術費用としては比較的リーズナブルな範囲と言えます。ただし、これは最低限の処置の場合が多く、搬送費用や追加の修復、化粧などのオプション費用が加わると総額は上がります。必ず見積もりで内訳を確認し、サービス内容と照らし合わせて判断することが重要です。
Q5: エンバーミング後に、お葬式の形式は変わりますか?
エンバーミングを行ったことで、お葬式の形式が大きく変わることはありません。通夜や告別式、火葬といった一般的な流れは変わりませんが、ご遺体が衛生的に保たれているため、故人様と直接触れ合うお別れの時間を長く取ったり、自宅での安置期間を長くしたりすることが可能になります。
まとめ|焦らず一つずつ確認しましょう
エンバーミングは、故人様を安らかな姿で送り出し、ご遺族が心ゆくまでお別れをするための大切な選択肢の一つです。その費用は決して安くありませんが、その役割やメリットを理解し、ご自身の状況に合わせて検討することが何よりも重要です。
この記事で解説したように、エンバーミングの費用は地域や業者、故人様の状態によって大きく変動します。費用の内訳や隠れた追加費用にも注意し、複数の業者から見積もりを取って比較検討することが、後悔のない選択をするための鍵となります。
大切な方を亡くされたばかりの時期に、多くのことを決めるのは大変なことです。一人で抱え込まず、信頼できる葬儀社や専門家に相談し、焦らず、一つずつ確認を進めていきましょう。
エンバーミングや葬儀の費用は業者によって大きく異なります。まず相談するだけでも、具体的な見積もりが得られ、焦らず比較できます。
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この記事の監修について
本記事は「お葬式.info 編集部」が、行政書士・司法書士・葬儀業界経験者・僧侶を含む監修者チームの助言のもと、公的統計・法令・専門書を根拠に作成しています。個別のケースについては、必ず専門家にご相談ください。編集方針・監修者一覧は編集ポリシーをご確認ください。
※本記事は2026年7月時点の情報に基づいています。費用・制度は変更される場合がありますので、最新情報は各専門家・行政機関へご確認ください。
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