成年後見 申請 手続き 費用 家庭裁判所 流れ
成年後見制度の申請をご検討されている皆様へ。大切なご家族の将来を思い、この制度について調べていらっしゃるのですね。心労も大きいことと存じます。この手続きは複雑に感じるかもしれませんが、一つずつ順を追って進めれば大丈夫です。すべてを一人で抱え込まず、頼れる専門家や窓口があることをぜひ知っておいてください。
この記事では、成年後見制度の申請手続きについて、必要な書類や費用、具体的な流れをわかりやすく解説します。また、知っておくべき期限やよくある疑問点にもお答えします。
この記事でわかること / まず確認すべきこと
- 成年後見制度の申請手続きの全体像
- 申請に必要な書類と準備のポイント
- 申請にかかる費用とその内訳
- 申請から審判までの具体的な流れ
- よくある疑問点や注意点
成年後見制度は、判断能力が不十分な方を保護するための大切な制度です。特に期限が定められているわけではありませんが、早めに検討・準備を進めることで、より安心して手続きを進められます。
【PR】本記事にはプロモーションが含まれます。STEP別手順|成年後見申請手続きの流れ
成年後見制度の申請は、家庭裁判所を通じて行います。大きく分けて以下のステップで進んでいきます。

STEP1:相談・情報収集(準備期間)
まずは、成年後見制度が本当に適切かどうか、どのような種類があるのか(法定後見・任意後見)などを確認します。
– 法定後見制度:すでに判断能力が不十分な場合に、家庭裁判所が後見人等を選任する制度です。
– 任意後見制度:将来判断能力が不十分になった場合に備え、あらかじめ自分で選んだ任意後見人と契約を結んでおく制度です。
制度の利用を検討する際は、市町村の成年後見制度の窓口や地域包括支援センター、弁護士、司法書士などに相談し、情報収集を行うのが一般的です。
STEP2:必要書類の準備
申請には多くの書類が必要です。一つずつ丁寧に準備を進めましょう。この段階で不明な点があれば、家庭裁判所の窓口や専門家に相談すると安心です。後述の「必要書類一覧チェックリスト」を参考にしてください。
STEP3:家庭裁判所への申立て
必要書類が揃ったら、申立人が被後見人となる方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。申立ての際は、申立書や添付書類に加え、収入印紙や郵便切手などの費用も必要になります。
STEP4:審理・調査
家庭裁判所は、申立てを受理すると、書類審査や面接、親族への意向照会、鑑定(医師による判断能力の評価)などを行い、後見人等を選任するための調査を進めます。
この過程で、申立人や候補者、被後見人となる方、親族などが家庭裁判所から呼び出され、面談を行うこともあります。
STEP5:後見人等の選任・審判
家庭裁判所は、調査結果に基づき、被後見人の保護に最も適した方を後見人等として選任し、その旨を審判(決定)します。後見人等には、親族のほか、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職が選任されることもあります。
審判が確定すると、その内容は法務局で登記され、成年後見制度が開始されます。
専門家によると「認知症の親が作った遺言書の有効性」
成年後見制度を検討するきっかけの一つに、親御さんの認知症の進行があるかもしれません。弁護士の見地からは、認知症と診断された後でも、遺言能力(意思能力)があれば有効な遺言書を作成できるとされています(民法963条)。「認知症=遺言無効」ではなく、作成時点の判断能力が重要です。軽度認知症であれば、意思能力が認められるケースも多くあります。特に、公証人が関与する公正証書遺言は、公証人が意思確認プロセスを行うため、その有効性が高いと評価されます。遺言作成時には、かかりつけ医の診断書やカルテを保存しておくと、将来の紛争防止に役立つでしょう。
必要書類一覧チェックリスト
成年後見制度の申立てには、以下のような書類が必要です。準備には時間がかかるため、早めに着手することをおすすめします。

【申立てに必要な主な書類】
□ 申立書(家庭裁判所のウェブサイトからダウンロードまたは窓口で取得)
□ 申立事情説明書
□ 親族関係図
□ 財産目録(被後見人の財産状況を示すもの)
□ 収支状況報告書(被後見人の収入・支出を示すもの)
□ 被後見人となる方の戸籍謄本(発行から3ヶ月以内)
□ 被後見人となる方の住民票(発行から3ヶ月以内)
□ 被後見人となる方の診断書(家庭裁判所指定の書式がある場合が多い)
□ 被後見人となる方の成年後見等に関する登記事項証明書(法務局で取得)
□ 申立人の戸籍謄本(申立人が配偶者や子の場合は不要なこともあります)
□ 後見人等候補者の住民票(候補者がいる場合)
□ 後見人等候補者の身分証明書(候補者がいる場合)
□ その他、事案に応じて必要となる書類(例:不動産の登記事項証明書、預貯金通帳のコピーなど)
これらの書類は、家庭裁判所によって様式や必要性が異なる場合があります。必ず事前に、申立てを予定している家庭裁判所のウェブサイトを確認するか、窓口に問い合わせて最新の情報をご確認ください。
書類が揃わない場合の代替手段・猶予規定
全ての書類を完璧に揃えるのが難しい場合もあるでしょう。例えば、診断書については、家庭裁判所が指定する医師による鑑定を別途行う場合もあります。また、財産目録や収支状況報告書は、現状で把握できる範囲で作成し、不足分は家庭裁判所からの指示に従って補充することも可能です。まずは、現状で準備できるものを揃え、家庭裁判所の窓口や専門家に相談してみましょう。無理に一人で抱え込まず、状況を伝えて指示を仰ぐことが大切です。
期限カレンダー|成年後見申請で知っておくべきこと
成年後見制度の申立て自体には、厳密な「○日以内」という期限は設けられていません。しかし、制度の利用を検討する背景には、判断能力の低下による財産管理の困難や契約行為のトラブルなど、緊急を要する状況があることが多いです。そのため、早めの対応が望ましいとされています。
【成年後見制度申請に関する主な期間・目安】
| 手続き名 | 期間・目安 | 窓口・担当 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 申立書類の準備期間 | 数週間〜数ヶ月 | 申立人、関係者 | 書類収集に時間がかかる場合があります。 |
| 家庭裁判所への申立て | 期限なし | 被後見人の住所地を管轄する家庭裁判所 | 早めの申立てが望ましいです。 |
| 審理・調査期間 | 3ヶ月〜6ヶ月程度 | 家庭裁判所 | 事案の複雑さ、鑑定の有無により変動します。 |
| 後見人等の選任・審判 | 審理終了後 | 家庭裁判所 | 審判確定後、法務局で登記されます。 |
| 鑑定実施期間 | 1ヶ月〜2ヶ月程度 | 医師、家庭裁判所 | 医師の診断書では不十分な場合に行われます。 |
※上記は一般的な目安であり、個別の事案や家庭裁判所の状況によって期間は大きく変動する可能性があります。
期限を過ぎた場合の救済措置(相続放棄の例から)
成年後見制度自体に「期限を過ぎる」という概念はありませんが、関連する制度で期限が重要なものとして「相続放棄」があります。弁護士の見地によると、相続放棄の期限は「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」と定められています(民法915条)。これは被相続人の死亡日からではなく、相続人が死亡と、自身が相続人であることを知った日が起算点です。また、借金の存在を知らなかったなど、特別な事情がある場合は、借金の存在を知った日から起算できるケースもあり、3ヶ月を過ぎても放棄が認められる場合があります(民法919条、最高裁昭和59年4月27日判決)。
もし、成年後見制度の検討中に、被後見人となる方の相続問題に直面し、相続放棄を考える必要が生じた場合は、3ヶ月の伸長申請を家庭裁判所に行うことも可能です。この場合も、早めに弁護士に相談することをお勧めします。
よくある失敗と対処法
成年後見制度の申請手続きは、専門的な知識も必要となるため、いくつかの落とし穴があります。
1. 必要書類の不備・漏れ
最も多い失敗の一つが、必要書類の不備や漏れです。書類の種類が多い上、家庭裁判所ごとに指定の書式があったり、発行から3ヶ月以内といった期限が設けられているものもあります。
– 対処法: 申立てを予定している家庭裁判所のウェブサイトで最新の情報を確認し、不明な点は必ず事前に問い合わせましょう。また、司法書士や弁護士などの専門家に依頼することで、書類作成の代行やチェックを受けられます。
2. 後見人等候補者の選定で親族間の対立
親族間で誰を後見人等にするかで意見が対立し、申立てがスムーズに進まないケースも少なくありません。家庭裁判所は、被後見人の利益を最優先して後見人等を選任するため、親族間の対立がある場合は、専門職後見人を選任する傾向にあります。
– 対処法: 申立て前に、親族間で十分に話し合い、合意形成を図ることが理想です。もし合意が難しい場合は、最初から専門職後見人の選任を希望することも検討しましょう。
3. 費用の見込み不足
申立て費用以外にも、鑑定費用や後見人等への報酬など、様々な費用がかかります。これらの費用を十分に把握していないと、途中で手続きが滞る原因となります。
– 対処法: 費用については後述のセクションで詳しく解説しますが、事前にしっかりと確認し、予算を立てておくことが重要です。
専門家によると「遺言書は「全財産を〇〇に」だけでは不十分」
成年後見制度と直接関係ないように思われるかもしれませんが、終活全般において、財産の管理や承継について考える中で、遺言書の作成も重要な要素です。弁護士の見地では、「全財産を長男に相続させる」といった遺言書は、一見すると有効に見えますが、他の相続人の遺留分(いりゅうぶん)を無視した内容だと、後々、遺留分侵害額請求を受けるリスクがあるとされています(民法1042条〜1049条)。遺留分は、配偶者、子、直系尊属に認められる権利であり、兄弟姉妹にはありません。遺言書を作成する際は、必ず遺留分を考慮した内容にすることが実務上の鉄則です。この「よくある誤解」のように、「遺言書があれば揉めない」と思い込んでいると、かえって争いが生じる原因となることがあります。財産管理や承継については、多角的な視点から専門家に相談することが重要です。
代行依頼する場合の流れ・費用目安
成年後見制度の申請手続きは、自分で行うことも可能ですが、複雑で時間と労力がかかるため、弁護士や司法書士などの専門家に代行を依頼することもできます。
代行依頼する場合の流れ
- 相談・依頼: 弁護士や司法書士に相談し、制度の要否や手続きの進め方についてアドバイスを受けます。依頼する専門家を決定します。
- 情報提供・書類収集協力: 専門家からの指示に基づき、必要な情報提供や書類収集に協力します。
- 申立書類の作成・提出: 専門家が申立書や添付書類を作成し、家庭裁判所に提出します。
- 家庭裁判所とのやり取り: 審理中の家庭裁判所からの照会等にも専門家が対応します。
- 審判・登記完了: 審判が確定し、登記が完了するまでサポートを受けられます。
代行依頼の費用目安
専門家に代行を依頼する場合、以下のような費用がかかります。地域や依頼する専門家、事案の複雑さによって大きく異なりますので、あくまで参考としてください。

| 項目 | 費用目安(参考値) | 備考 |
|---|---|---|
| 家庭裁判所への申立費用 | 数千円〜1万円程度 | 収入印紙、郵便切手代など |
| 医師による鑑定費用 | 5万円〜10万円程度 | 家庭裁判所が鑑定を命じた場合 |
| 弁護士・司法書士への報酬(申立代行) | 10万円〜30万円程度 | 事案の複雑さにより変動します。 |
| 後見人等への報酬(制度開始後) | 月額2万円〜6万円程度 | 被後見人の財産額により変動します(家庭裁判所が決定)。 |
※上記の費用はあくまで目安です。具体的な費用については、依頼を検討している専門家に必ず事前に見積もりを依頼してください。
オンライン申請・マイナンバー活用の可否
2026年現在、成年後見制度の申立て手続きは、原則として家庭裁判所への書面提出が必要です。オンラインでの申請は、まだ一般的には導入されていません。また、マイナンバーカードやマイナンバー制度が直接的に申立て手続きに必須となる場面は限定的ですが、住民票や戸籍の取得など、一部の行政手続きで活用できる場合があります。今後の制度改正により、オンライン化が進む可能性はありますが、現時点では書面での手続きが基本となります。
よくある質問(FAQ)
Q1: 成年後見制度にはどのような種類がありますか?
A1: 成年後見制度には、大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類があります。
– 法定後見制度:すでに判断能力が不十分な方のために、家庭裁判所が後見人、保佐人、補助人を選任する制度です。本人の判断能力の程度に応じて、後見・保佐・補助の3つの類型があります。
– 任意後見制度:将来、判断能力が不十分になった場合に備え、あらかじめ本人が選んだ任意後見人に、財産管理や生活に関する事務を委任する契約を結んでおく制度です。
Q2: 申立てから後見人が選任されるまで、どれくらいの期間がかかりますか?
A2: 申立てから後見人等が選任されるまでの期間は、事案の複雑さや家庭裁判所の混雑状況によって異なりますが、一般的には3ヶ月から6ヶ月程度が目安とされています。鑑定が必要な場合や、親族間で意見の対立がある場合などは、さらに期間が長くなることもあります。
Q3: 後見人には誰がなれますか?
A3: 後見人には、特に資格は必要ありません。親族の方がなることもできますし、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職が選任されることもあります。家庭裁判所は、被後見人となる方の利益を最も考慮し、最適な後見人等を選任します。必ずしも申立人が希望する人が選ばれるとは限りません。
Q4: 成年後見制度の利用をやめることはできますか?
A4: 成年後見制度は、一度開始されると、本人の判断能力が回復しない限り、原則として終了することはありません。本人の判断能力が回復し、後見の必要がなくなったと家庭裁判所が判断した場合に限り、後見開始の審判が取り消されることがあります。しかし、これは非常に稀なケースです。
Q5: 任意後見制度を検討していますが、メリット・デメリットはありますか?
A5: 任意後見制度の最大のメリットは、将来の任意後見人を自分で選べる点と、委任する事務の内容を契約で自由に決められる点です。これにより、本人の意思を尊重した支援が期待できます。
デメリットとしては、契約締結時には本人が十分な判断能力を持っている必要があること、任意後見監督人が選任されるため、監督人への報酬が発生することなどが挙げられます。
【関連】任意後見制度について詳しくはこちら
まとめ|一人で抱え込まず、窓口を頼ってください
成年後見制度の申請手続きは、多くの方にとって初めての経験であり、不安や疑問を抱えるのは自然なことです。この記事では、手続きの流れ、必要な書類、費用、そしてよくある質問について解説しました。

【成年後見制度申請のポイントチェックリスト】
□ 成年後見制度の種類(法定後見・任意後見)を理解した
□ 申立てを予定する家庭裁判所の情報を確認した
□ 必要書類をリストアップし、準備に着手した
□ 申立てにかかる費用(印紙代、切手代、鑑定費用など)を確認した
□ 専門家への相談(弁護士・司法書士など)を検討した
□ 親族間で後見人等候補者について話し合った
手続きは複雑に感じられるかもしれませんが、ご家族のために、そしてご自身の将来のために、この制度について知ることは非常に重要です。すべてを一人で抱え込まず、市町村の成年後見制度の窓口、地域包括支援センター、弁護士、司法書士といった専門家を積極的に頼ってください。彼らは、あなたの状況に合わせた具体的なアドバイスやサポートを提供してくれます。
成年後見制度の手続きは専門知識が必要で、時間も労力もかかります。まず専門家へ相談するだけでも、具体的な手続きの進め方や費用、最適な選択肢について、焦らず情報収集ができます。
【関連】相続手続きの全体像について詳しくはこちら
【関連】任意後見契約の作成方法について詳しくはこちら
🛠 相続税かんたん試算ツール (無料・あなたのペースで)基礎控除 (3,000万円+600万円×法定相続人数) で申告要否を即時判定 (無料)相続税かんたん試算ツール を使う →