無縁墓とは、お墓の管理者が使用者を特定できない、あるいは連絡が取れない状態が一定期間続いたお墓のことです。無縁墓になると、最終的にはお墓が撤去され、ご遺骨は他の無縁仏とともに合祀墓(共同墓地)などに埋葬されることになります。これは故人の尊厳に関わるだけでなく、残されたご家族にとっても、後から遺骨を探すことが極めて困難になるなど、大きな精神的負担となる可能性があります。
無縁墓になるまでの流れ
無縁墓となるプロセスは、墓地、埋葬等に関する法律(通称:墓埋法)に基づき、以下の手順で進められます。
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管理費の滞納・連絡不通
まず、お墓の管理費の滞納が数年間(一般的には3年〜5年以上)続くことから始まります。墓地の管理者(寺院や霊園など)は、使用者に対し、書面や電話などで再三にわたって連絡を試みます。しかし、転居などで連絡先が不明な場合や、承継者がいないために誰も管理費を支払わない場合、連絡が途絶えてしまいます。 -
官報公告と立札の設置
管理者が使用者と連絡が取れない状態が続くと、墓埋法第11条に基づき、「無縁墳墓等改葬」の手続きを開始します。まず、墓地管理者は墓地の所在地を管轄する市町村長の許可を得て、以下の告知を行います。- 官報公告: 国が発行する「官報」に、墓地の使用者に名乗り出るよう求める公告を掲載します。この公告費用は、掲載内容にもよりますが、数万円〜10万円程度かかることが一般的です。
- 立札の設置: 該当するお墓の敷地内に、同様の内容を記載した立札を設置します。
これらの公告期間は、法律により1年以上と定められています。
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改葬許可の申請と遺骨の改葬
公告期間が経過し、使用者が名乗り出なかった場合、墓地管理者は市区町村に改葬許可を申請し、許可を得たうえで遺骨を合祀墓などに改葬します。一連の手続きには通常1年半〜2年程度かかります。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別案件については弁護士・税理士・葬儀の専門家にご相談ください。
掲載情報は2026年現在のものです。法改正等により変更となる場合があります。
よくある質問(詳細版)
Q1: 無縁墓になるのを防ぐには、具体的にどのような対策が必要ですか?
無縁墓になる主要な原因は、お墓の管理費の滞納と承継者不明です。これを防ぐためには、まず墓地管理者(寺院や霊園)との連絡を密にし、住所や連絡先の変更があった場合は速やかに届け出ることが重要です。管理費の支払い状況を定期的に確認し、口座振替など自動引き落とし設定も有効な手段です。また、最も重要なのは、お墓の承継者を明確に定めておくことです。ご自身の死後、誰がお墓の管理を引き継ぐのかを家族や親族と話し合い、書面で意思表示をしておくと良いでしょう。もし承継者がいない、または遠方で管理が難しい場合は、後述の永代供養墓への改葬や墓じまいを検討する時期かもしれません。これらの対策は、故人の尊厳を守り、残された家族の精神的負担を軽減するために不可欠です。
Q2: 既に管理費の滞納があり、無縁墓になる可能性が高い場合、どのような手続きが取れますか?
管理費の滞納が数年間続き、墓地管理者から再三の連絡を受けている状況であれば、早急に管理者と連絡を取り、滞納分の管理費を清算することが最優先です。その上で、今後のお墓の管理について相談しましょう。もし管理の継続が困難であれば、「墓じまい」と「改葬」を検討することになります。墓じまいとは、お墓を撤去し、墓地を更地にして管理者に返還する手続きです。改葬とは、お墓から遺骨を取り出し、別の場所(永代供養墓、樹木葬、納骨堂など)に埋葬し直すことです。改葬には、現在の墓地がある市区町村役場への「改葬許可申請」が必要で、約1ヶ月程度の期間がかかります。必要な書類は、改葬許可申請書のほか、現在の墓地管理者からの埋蔵証明書、新しい受入先からの受入証明書、申請者の戸籍謄本などです。費用は墓石撤去費用が約20万円~100万円程度、改葬先の費用が約5万円~150万円程度(形式による)かかります。
Q3: 無縁墓として撤去された遺骨は、最終的にどこへ埋葬されるのですか?
無縁墓としてお墓が撤去された場合、取り出されたご遺骨は、墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)に基づき、最終的には他の無縁仏とともに合祀墓(共同墓地)に埋葬されることが一般的です。合祀墓とは、複数人の遺骨をまとめて埋葬する形式の墓地で、一度合祀されると個別の遺骨を取り出すことは極めて困難になります。多くの場合、墓地管理者が永代にわたって供養を行います。合祀墓への埋葬費用は、墓地管理者が負担することが多いですが、手続きにかかった費用の一部を、もし連絡が取れた承継者に請求される可能性もゼロではありません。故人の尊厳を守るためにも、生前からの準備や、もし無縁墓化の危機に瀕している場合は、早急な対応が求められます。
Q4: 承継者がいない場合、生前に無縁墓化を防ぐための具体的な対策は何がありますか?
承継者がいない場合でも、生前に無縁墓化を防ぐための対策は複数あります。最も一般的なのは「永代供養墓」を契約することです。永代供養墓は、寺院や霊園が永代にわたって供養・管理してくれるお墓で、合祀型、集合型、個別型など様々な形式があります。費用は合祀型で約5万円~30万円程度、個別型で約30万円~150万円程度(期間により異なります)。また、「樹木葬」や「海洋散骨」といった自然葬を選択し、遺骨を自然に還す方法もあります。これらは承継者を必要としないため、無縁墓化の心配がありません。さらに、「死後事務委任契約」を弁護士や行政書士などの専門家と締結することで、ご自身の葬儀や埋葬に関する希望を託し、実行してもらうことも可能です。これにより、生前に希望する供養方法を明確にし、死後の手続きを円滑に進めることができます。
Q5: 無縁墓となるまでの手続きには、どのくらいの期間がかかりますか?
無縁墓となるまでの手続きは、墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)に基づいて進められ、一般的に数年間の管理費滞納から始まり、最終的な撤去までには最短でも約3年~5年以上、長い場合は10年近くかかることもあります。まず、管理費の滞納が数年間続くと、墓地管理者から使用者への連絡が試みられます。連絡が取れない場合、墓埋法第11条に基づき、「無縁墳墓等改葬」の手続きが開始されます。この手続きには、官報への公告(約3ヶ月間)と、墓地の見やすい場所への立札設置(約1年間)が義務付けられています。これらの期間を経て、なお連絡が取れない場合に、最終的に改葬許可を得てお墓が撤去され、遺骨が合祀墓に埋葬されます。この一連の行政手続きと公告期間を考慮すると、短期間で無縁墓になることはありませんが、放置すれば確実に進行します。
Q6: 遠方に住んでいてお墓の管理が難しい場合、どうすればいいですか?
遠方に住んでいてお墓の管理が難しい場合、無縁墓化を防ぐための選択肢を検討することが重要です。まず、現在の墓地管理者と相談し、管理代行サービスや清掃サービスが利用できないか確認しましょう。費用は年間約数千円~数万円程度(サービス内容による)です。次に、親族間で誰が管理を引き継ぐか話し合い、困難であれば「墓じまい」と「改葬」を検討します。遺骨を自宅近くの永代供養墓や納骨堂に移すことで、管理の手間を大幅に軽減できます。墓じまいの費用はQ2で述べた通りです。また、近年では「手元供養」といって、遺骨の一部を自宅で保管したり、アクセサリーに加工したりする方法も増えています。これにより、故人を身近に感じながら供養を続けることができます。いずれの方法も、現在の墓地管理者との円滑なコミュニケーションが不可欠です。
比較・選択肢の整理
| 選択肢 | 費用(目安) | 期間(目安) | メリット | デメリット | こんな人向け |
|---|---|---|---|---|---|
| 永代供養墓(合祀型) | 約5万円〜30万円程度(地域により異なります) | 契約後すぐ〜数週間で納骨可能 | 費用が安価。承継者不要。寺院・霊園が永代供養・管理。 | 一度合祀されると遺骨を取り出せない。個別のお参りスペースがない。 | 費用を抑えたい。承継者がいない・遠方に住んでいる。シンプルに供養したい。 |
| 永代供養墓(個別型) | 約30万円〜150万円程度(地域により異なります) | 契約後すぐ〜数週間で納骨可能 | 一定期間(例:33回忌まで)個別に安置。承継者不要。 | 合祀型より高額。個別安置期間終了後は合祀されることが多い。 | 個別に供養したいが、将来的な承継者問題に不安がある。親族と合意形成済み。 |
| 樹木葬 | 約10万円〜80万円程度(地域により異なります) | 契約後すぐ〜数週間で埋葬可能 | 自然に還るイメージ。承継者不要。比較的費用を抑えられる。 | 遺骨の個別特定が難しい場合がある。場所によってはアクセスが不便。 | 自然志向。承継者不要。お墓の維持管理に手間をかけたくない。 |
| 海洋散骨 | 約5万円〜30万円程度(地域により異なります) | 依頼後1ヶ月〜3ヶ月程度で実施 | 費用が比較的安価。承継者不要。故人の希望を叶えられる。 | 遺骨が残らないため、お墓参りの場所がなくなる。親族の理解が必要。 | 故人が海が好きだった。お墓という形にこだわらない。承継者不要。 |
| 墓じまいと改葬 | 約20万円〜100万円(撤去)+改葬先費用 | 申請から完了まで約3ヶ月〜1年程度(状況による) | 現在のお墓の管理負担を解消。新しい供養方法を選択できる。 | 費用と手間がかかる。親族間の合意形成が重要。 | 遠方で管理が困難。承継者がいない。新しい供養方法に移行したい。 |
事前準備チェックリスト
無縁墓化を防ぎ、安心して終活を進めるためのチェックリストです。
□ お墓の管理費の支払い状況を確認する(滞納がないか、支払い方法に問題がないか)
□ 墓地管理者(寺院・霊園)の連絡先を把握し、自身の連絡先(住所、電話番号、メールアドレス)を最新の状態に更新する
□ お墓の承継者となる可能性のある家族・親族と話し合い、管理の意思を確認する
□ エンディングノートを作成し、お墓に関する希望(永代供養、墓じまいなど)を具体的に記載する
□ 永代供養墓、樹木葬、海洋散骨など、承継者を必要としない供養方法について情報収集し、検討する
□ 墓じまいを検討する場合、現在の墓地管理者との交渉、改葬先の選定を始める
□ 死後事務委任契約について情報収集し、必要であれば弁護士や行政書士への相談を検討する
□ 遺言書を作成し、祭祀承継者(お墓や仏壇を引き継ぐ人)を明記する
□ 家族・親族間で、お墓に関する情報(墓地使用許可証の保管場所、管理費の支払い状況など)を共有する
□ 墓地使用許可証、埋蔵証明書、戸籍謄本など、お墓に関する重要書類の保管場所を確認・整理する
□ 終活に関する相談先(自治体の窓口、専門家、葬儀社など)を事前に調べておく
□ 各種手続きや供養方法にかかる費用について、概算を把握しておく(約○○円程度)
関連する法律・制度と公的情報源
無縁墓や終活、相続に関連する主要な法律・制度は多岐にわたります。ここでは特に重要なものを紹介します。
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墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)
- 根拠条文名と概要: 墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)は、墓地、納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬等を規律し、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障のないことを目的としています。特に、無縁墓の改葬手続き(第11条)について詳細に定められており、官報公告や立札設置などの要件が規定されています。
- 公的機関URL: e-Gov法令検索 墓地、埋葬等に関する法律
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民法
- 根拠条文名と概要: 民法(明治29年法律第89号)は、私法に関する基本法であり、特に相続(第5編、第882条以下)や祭祀に関する権利(第897条)について定めています。祭祀承継者とは、系譜、祭具、墳墓の所有権を承継する者のことで、遺言で指定されていない場合は慣習によって定まります。無縁墓問題は、この祭祀承継者が不在または不明となることで生じることが多いです。
- 公的機関URL: e-Gov法令検索 民法
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相続税法
- 根拠条文名と概要: 相続税法(昭和25年法律第73号)は、相続や遺贈によって財産を取得した場合に課される税金について定めています。墓地や仏壇、仏具などは、相続税の非課税財産(第12条)として扱われるため、相続税の申告時には注意が必要です。終活の一環として生前にお墓を購入することは、相続税対策にもなり得ます。
- 公的機関URL: e-Gov法令検索 相続税法
- 関連情報源: 国税庁 相続税のあらまし
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戸籍法
- 根拠条文名と概要: 戸籍法(昭和22年法律第224号)は、個人の身分関係を公証する戸籍に関する手続きを定めています。死亡届の提出(第86条)や、改葬許可申請の際に必要となる戸籍謄本・抄本の取得など、終活や無縁墓対策の様々な場面で関わってきます。改葬許可申請は、遺骨の所在地の市区町村長に対して行われます。
- 公的機関URL: e-Gov法令検索 戸籍法
- 関連情報源: 法務省 戸籍
よくある質問(詳細版)
Q1:無縁墓になるのを防ぐには、具体的にどうすれば良いですか?
A1:無縁墓になるのを防ぐための最も確実な方法は、お墓の承継者を明確にし、管理費の支払いを継続することです。しかし、将来的に承継者がいなくなる、あるいは負担をかけたくない場合は、生前のうちに「墓じまい」をして、永代供養墓や樹木葬、納骨堂など、管理・供養を霊園や寺院に任せられる形式へ改葬することを検討しましょう。具体的には、まず現在の墓地の管理規約を確認し、管理者に相談することが第一歩です。その後、家族や親族と話し合い、将来の墓地のあり方について合意形成を図ります。改葬を選択する場合、手続きには約半年から1年程度の期間を要し、費用は墓じまい自体に約50万円〜200万円程度(離檀料、墓石撤去費用、閉眼供養料など)、新たな供養形態への費用が別途約5万円〜150万円程度(永代供養墓、樹木葬、納骨堂などによって異なります)かかります。早めの「終活」として計画的に進めることが重要です。
Q2:無縁墓になった遺骨は、最終的にどこへ行くのですか?
A2:無縁墓と判断され、墓埋法に基づいた改葬手続きが完了したご遺骨は、最終的に「合祀墓(共同墓地)」や「無縁仏供養塔」と呼ばれる場所に、他の無縁仏のご遺骨とともに埋葬されます。これは、個別の墓石が撤去された後、ご遺骨がそのまま放置されることを避けるための措置です。合祀されると、複数のご遺骨が一緒に埋葬されるため、後から特定のご遺骨を取り出すことは原則として不可能になります。そのため、無縁墓になる前にご家族が対応することが故人の尊厳を守る上で非常に重要です。合祀墓では、定期的に合同供養が行われることが一般的ですが、個別の供養は行われません。ご遺骨の行方や供養方法について不安がある場合は、生前のうちに「永代供養」を検討するなど、具体的な対策を講じることが望ましいでしょう。
Q3:墓じまいにかかる費用はどのくらいですか?
A3:墓じまいにかかる費用は、現在の墓地の状況や改葬先の選択肢によって大きく変動しますが、一般的には約50万円〜200万円程度が目安となります(2026年時点)。主な内訳としては、まず現在の墓地管理者(寺院など)への「離檀料」が約5万円〜20万円程度(慣例として支払われる場合)、墓石の撤去・処分費用が約20万円〜50万円程度(墓石の大きさや立地による)、閉眼供養(魂抜き)のお布施が約3万円〜10万円程度です。これに加えて、ご遺骨を移す改葬先の費用が必要となります。例えば、永代供養墓の合祀型であれば約5万円〜30万円程度、個別安置型であれば約30万円〜150万円程度、樹木葬であれば約20万円〜150万円程度、納骨堂であれば約10万円〜100万円程度と、選択肢によって幅があります。これらの費用は地域や業者によって異なるため、複数の見積もりを取得し比較検討することが大切です。
Q4:墓じまいの手続きには、どのくらいの期間がかかりますか?
A4:墓じまいの手続きは、一般的に約半年から1年程度の期間を要します(2026年時点)。これは、複数の関係者との調整や行政手続きが含まれるためです。まず、墓地管理者との話し合いから始まり、管理費の清算や離檀に関する交渉を行います。次に、改葬先の選定と契約を進めます。この段階で、改葬先の墓地管理者から「受入証明書」を取得します。並行して、現在の墓地管理者から「埋葬(納骨)証明書」を発行してもらいます。これらの書類が揃ったら、現在の墓地がある市区町村役場に「改葬許可申請書」を提出し、「改葬許可証」を取得します。この許可証がないと、ご遺骨を移動させることはできません。その後、墓石の撤去工事、閉眼供養、そして新しい納骨先への納骨という流れになります。特に、親族間の合意形成や役所の手続きに時間がかかる場合があるため、余裕を持ったスケジュールで計画することが重要です。
Q5:無縁墓になる前に連絡が来た場合、どう対応すれば良いですか?
A5:墓地管理者から無縁墓になる可能性があるとの連絡が来た場合、速やかに対応することが最も重要です。連絡を無視したり、放置したりすると、最終的にご遺骨が合祀されてしまい、後から取り出すことができなくなります。まずは、連絡内容を詳しく確認し、管理費の滞納状況や、なぜ連絡が取れなかったのかなどを墓地管理者に説明しましょう。その上で、以下の選択肢を検討します。
1. 管理費の支払いと承継者の明確化: 滞納している管理費を支払い、今後も継続して管理していく意思があることを示し、承継者を明確にします。
2. 墓じまい: 将来的な管理の負担を考慮し、墓じまいをして永代供養墓などへの改葬を検討します。この場合、墓地管理者と具体的な手続きについて相談します。
3. 親族への相談: 複数の承継候補がいる場合は、親族間で話し合い、今後の管理方法について合意形成を図ります。
いずれの対応も、墓地管理者から示された期限内に実行することが肝要です。期限を過ぎると、官報公告や立札設置といった無縁墳墓等改葬の手続きが開始されてしまいます。
Q6:承継者がいない場合、お墓の管理はどうすれば良いですか?
A6:お墓の承継者がいない、あるいは将来的にいなくなることが確実な場合、無縁墓になることを避けるための「終活」として、生前のうちにいくつか選択肢を検討できます。最も一般的なのは「永代供養」です。これは、寺院や霊園が永代にわたってご遺骨の管理・供養を行ってくれる制度で、承継者がいなくても安心です。永代供養には、他のご遺骨と一緒に埋葬される合祀型、一定期間個別に安置された後に合祀される個別安置型などがあります。費用は合祀型で約5万円〜30万円程度、個別安置型で約30万円〜150万円程度です。
その他には、自然に還ることを目的とした「樹木葬」(約20万円〜150万円程度)や、海洋への「散骨」(約10万円〜50万円程度)も選択肢となります。これらの方法は、承継者の心配がなく、管理費もかからない場合が多いというメリットがあります。また、ご自身の希望を「エンディングノート」や「遺言書」に明確に記しておくことで、残された方々が迷わず手続きを進められるようになります。
比較・選択肢の整理
無縁墓になることを避けるための主な供養形態について、費用、期間、メリット、デメリット、そして「こんな人向け」という視点で比較します。
| 選択肢 | 費用 | 期間 | メリット | デメリット | こんな人向け |
|---|---|---|---|---|---|
| 一般墓 | 約100万円〜300万円程度(永代使用料+墓石) | 数ヶ月〜1年 | 伝統的な供養、個別の墓石で手厚い供養が可能 | 承継者が必要、管理費・維持費がかかる、管理の手間 | 承継者がおり、代々受け継いでいきたい人 |
| 永代供養墓(合祀型) | 約5万円〜30万円程度 | 数週間〜1ヶ月 | 費用が抑えられる、承継者不要、管理の手間がない | 一度合祀されると遺骨を取り出せない、個別の供養が難しい | 費用を抑えたい、承継者がいない、管理を任せたい人 |
| 永代供養墓(個別安置型) | 約30万円〜150万円程度 | 1ヶ月〜3ヶ月 | 一定期間は個別に供養される、承継者不要 | 合祀型より費用が高い、最終的には合祀されることが多い | 個別の供養も希望するが、将来の承継者に負担をかけたくない人 |
| 樹木葬 | 約20万円〜150万円程度 | 1ヶ月〜3ヶ月 | 自然に還る、承継者不要、管理費不要な場合が多い | 遺骨を取り出せない、場所が限られる、合祀型は個別感が薄い | 自然を愛する、承継者がいない、エコな供養を希望する人 |
| 散骨 | 約10万円〜50万円程度 | 数週間〜1ヶ月 | 費用を抑えられる、承継者不要、自由な供養 | 遺骨が残らない、親族の理解が必要、場所の制限がある | 形式にとらわれたくない、自然に還りたい、承継者がいない人 |
| 手元供養 | 約1万円〜数10万円程度 | 即日〜数週間 | 故人を身近に感じられる、自由な供養、費用を抑えられる | 遺骨の一部しか持てない、保管場所が必要、最終的な供養は別途必要 | 故人をいつも身近に感じたい、一時的な安置や分骨を希望する人 |
事前準備チェックリスト
無縁墓になるのを防ぐため、または墓じまいや改葬を検討する際の事前準備チェックリストです。2026年時点の情報として、実行前に以下の項目を確認しましょう。
無縁墓対策・終活全般
- □ 現在のお墓の管理規約(墓地使用規則)を読み込み、管理費の支払い義務や承継に関する規定を確認する
- □ 墓地管理者に連絡し、管理費の滞納状況や今後の管理・承継に関する相談をする
- □ 家族・親族(配偶者、子、兄弟姉妹など)と、お墓の現状と今後の管理について話し合い、合意形成を図る
- □ 自身の「終活」として、エンディングノートや遺言書に、お墓やご遺骨に関する希望を具体的に明記する
- □ 連絡先(住所、電話番号、メールアドレスなど)が変更になった場合は、速やかに墓地管理者に通知する
- □ 自身の健康状態や判断能力に不安がある場合、任意後見契約や見守り契約などを検討する
墓じまい・改葬を検討する場合
- □ 改葬先の種類(永代供養墓、樹木葬、納骨堂、散骨など)を調査し、希望する供養形態を選定する
- □ 選定した改葬先の寺院・霊園・業者から、詳細な費用見積もりと契約内容を確認する
- □ 現在の墓地管理者から「埋葬(納骨)証明書」を発行してもらう(発行手数料がかかる場合があります)
- □ 改葬先の墓地管理者から「受入証明書」を発行してもらう
- □ 現在の墓地がある市区町村役場の窓口で「改葬許可申請書」を入手し、必要事項を記入する
- □ 申請に必要な戸籍謄本(故人の死亡から現在までの連続したもの)、住民票などの公的書類を準備する
- □ 上記書類を揃え、市区町村役場に「改葬許可申請書」を提出し、「改葬許可証」を取得する(申請から発行まで数日〜数週間かかる場合があります)
- □ 墓石の撤去・運搬・処分を依頼する石材業者を選定し、見積もり・契約を行う
- □ 閉眼供養(魂抜き)を執り行う僧侶や神職を手配し、日程を調整する
- □ 新しい納骨先への納骨・契約を行い、最終的な手続きを完了させる
関連する法律・制度と公的情報源
無縁墓や終活、相続に関連する主要な法律や制度は以下の通りです。これらの法律は、お墓の管理や承継、ご遺骨の取り扱いにおいて重要な役割を果たします。
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墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)
- 根拠条文名: 墓地、埋葬等に関する法律 第11条(無縁墳墓等の改葬)、第12条(改葬の許可)
- 概要: 墓地の管理、埋葬、火葬、改葬などに関する基本原則を定めた法律です。特に、管理者が不明な「無縁墳墓」を改葬する際の手続き(官報公告や立札設置など)は第11条に詳細に規定されています。この法律は、公衆衛生の向上と国民の宗教的感情に配慮しつつ、公共の福祉の増進を図ることを目的としています。
- 公的機関URL: https://laws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000048 (e-Gov法令検索)
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民法
- 根拠条文名: 民法 第896条(祭祀に関する権利の承継)、第877条(扶養義務)
- 概要: 相続、家族関係、財産などに関する一般的な法律です。お墓や仏壇、位牌といった「祭祀財産」の承継については、通常の相続財産とは
※情報は公的資料を参考にまとめたものです。最新の状況は各窓口にてご確認ください。
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