相続の基本ガイド【2026年版】手続きの流れと期限
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相続の基本ガイド【2026年版】手続きの流れと期限
(読了目安:約15分)
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大切な方を亡くされ、心よりお悔やみ申し上げます。
深い悲しみの中、慣れない相続手続きに直面し、心が追い立てられているかもしれません。「何から始めればいいのか」「期限に間に合うだろうか」と不安を感じるのは、とても自然なことです。まずは深呼吸してください。このガイドは、あなたが少しでも安心して手続きを進められるよう、相続の基本的な流れと知っておくと安心な期限を「あなたのために」整理したものです。
一人で抱え込まず、できるときに、少しずつ進めていきましょう。
相続手続きの全体像と流れ
相続手続きは、故人(被相続人)が亡くなった日から始まります。多くの手続きには期限が設けられていますが、何よりも大切なのは、あなたが心身ともに健康でいることです。ここでは、相続手続きの全体像を把握し、いつ、何をすべきかを知るための基本的な「相続の流れ」をご紹介します。前もって流れを知っておくことで、いざというときに焦らず対処できます。
相続発生直後(7日以内が目安)
大切な方が亡くなられた直後、まず行うことは、故人の死亡を公的に証明し、届出をすることです。
死亡診断書の取得と死亡届の提出
医師から死亡診断書(または死体検案書)を受け取ります。この診断書をもとに、市区町村役場へ死亡届を提出します。死亡届は、故人の死亡を知った日から7日以内に行うことが定められています(国外で死亡した場合は3ヶ月以内)。死亡届の提出と同時に、火葬許可証・埋葬許可証の発行も申請します。これにより、故人の戸籍が抹消され、相続が開始したことが公的に記録されます。
根拠:戸籍法第86条(参照:e-Gov法令検索)
葬儀・埋葬の手配
ご家族で故人の意向や宗教・宗派に沿った葬儀・埋葬を執り行います。この時期は心身ともに大変ですが、周囲のサポートを積極的に受けましょう。手続きのことは後回しにしても構いません。今は、大切な方を見送ることに専念してください。
相続人・相続財産の調査(1ヶ月以内が目安)
相続手続きを進める上で、誰が相続人になるのか、どのような財産があるのかを正確に把握することが重要です。
相続人の確定
故人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍)を集め、法定相続人(法律で定められた相続人)を確定します。この作業は複雑な場合も多く、司法書士や弁護士に依頼することも可能です。
【関連】戸籍謄本の集め方と注意点についてはこちらで詳しく解説しています
相続財産の調査
預貯金、不動産、有価証券(株式・投資信託など)、自動車、貴金属といったプラスの財産だけでなく、借金、ローン、未払金などのマイナスの財産もすべて調査します。金融機関や証券会社からの取引履歴を取り寄せたり、固定資産税の納税通知書を確認したりするなど、多岐にわたる作業が必要です。
遺言書の確認と検認(必要に応じて)
故人が遺言書を残している場合、その内容が相続手続きに大きな影響を与えます。
遺言書の有無の確認
自宅・貸金庫・公証役場などで遺言書が保管されていないか確認します。法務局の「遺言書保管制度」を利用していた場合は、法務局でも確認できます(参照:法務省)。
公正証書遺言以外の検認手続き
自筆証書遺言など、公正証書遺言以外の遺言書が見つかった場合、家庭裁判所で「検認(けんにん)」という手続きが必要です。これは、遺言書の内容を偽造・変造されるのを防ぐための手続きであり、遺言書の有効性を確定するものではありません。
⚠ 注意点:遺留分(いりゅうぶん)について
「全財産を長男に相続させる」といった内容の遺言書がある場合でも、他の相続人には「遺留分」という最低限の相続分が民法で保障されています。遺留分を侵害された相続人は「遺留分侵害額請求」を行うことができます。遺留分の対象は配偶者・子・直系尊属(親や祖父母)であり、兄弟姉妹には遺留分がありません。✕ よくある誤解:「遺言書があれば揉めない」は必ずしも正しくありません。内容次第では遺留分侵害額請求でトラブルが生じる場合があります。
根拠:民法第1042条〜第1049条(参照:e-Gov法令検索)
相続の承認・放棄の判断と期限
相続財産の調査が終わったら、故人の財産をどう扱うかを決める重要なステップがあります。前もってこの内容を知っておくことで、3ヶ月という期間を冷静に活用できます。
3ヶ月以内の選択:単純承認・限定承認・相続放棄
故人の死亡を知った日から3ヶ月以内に、以下のいずれかを選択できます。
| 選択肢 | 内容 | 手続き |
|---|---|---|
| 単純承認 | プラス・マイナスすべての財産を相続する | 特別な手続き不要(何もしなければ自動的に単純承認) |
| 限定承認 | プラスの財産の範囲内でマイナスを清算し、残りを相続 | 家庭裁判所への申述が必要(相続人全員で行う) |
| 相続放棄 | プラス・マイナスすべての財産を相続しない | 家庭裁判所への申述が必要(個人で行える) |
⚠ 注意点:3ヶ月の起算点は「故人の死亡日」ではなく、「相続人が相続の開始を知った日」です。また、借金の存在を知らなかった場合など特定の事情があれば、借金の存在を知った日から起算できるケースもあります。さらに、3ヶ月の期間は家庭裁判所への申立てにより「伸長(延長)」することも可能です。
✕ よくある誤解:「3ヶ月が過ぎたから、もう相続放棄はできない」と諦めてしまう方がいますが、事情によっては例外が認められるケースもあります。
根拠:民法第915条・第919条、最高裁昭和59年4月27日判決(参照:e-Gov法令検索)
相続放棄の具体的な手続き
相続放棄を検討される場合、以下の手順で進めることができます。
- 必要書類の準備:故人の住民票除票、戸籍謄本、相続放棄申述書など、家庭裁判所が指定する書類を準備します
- 申述書の作成と提出:相続放棄申述書を作成し、必要書類とともに家庭裁判所に提出します
- 弁護士への相談:相続放棄は一度行うと原則として撤回できません。複雑なケースでは専門的な判断が必要となるため、弁護士に相談・代行を依頼されることをお勧めします
遺産分割協議と遺言書の効力
相続の承認・放棄の選択が終わり、相続人が複数いる場合は、誰がどの財産を相続するかを決める「遺産分割」の手続きに進みます。
遺産分割協議の進め方
相続人全員での合意形成
遺言書がない場合、または遺言書の内容と異なる分割を希望する場合、相続人全員で話し合い、「遺産分割協議」を行います。一人でも欠けていると、遺産分割は成立しないため、相続人全員の参加が必要です。
遺産分割協議書の作成
協議がまとまったら、その内容を「遺産分割協議書」として書面にまとめ、相続人全員が署名・捺印(実印)します。この書類は、不動産の名義変更や預貯金の払い戻しなど、後続の手続きで必要となります。
遺言書がある場合の注意点
有効な遺言書がある場合、原則としてその内容に従って遺産を分割します。ただし、遺言書の内容が他の相続人の遺留分を侵害している場合、侵害された相続人は「遺留分侵害額請求」を行うことができます。これは金銭での請求となるため、相続人間に新たなトラブルが生じる原因になる場合があります。
根拠:民法第1042条〜第1049条(参照:e-Gov法令検索)
認知症の親が作った遺言書の有効性
遺言能力(意思能力)の重要性
「認知症の親が作った遺言書は無効」と一概に決めつけることはできません。遺言書が有効であるためには、作成時に故人に「遺言能力(いごんのうりょく)」(意思能力)があったかどうかが問題となります。軽度の認知症であっても、遺言能力が認められれば有効な遺言は作成可能な場合があります。
公正証書遺言の優位性
公証人が関与して作成される「公正証書遺言」は、作成時に公証人が本人の意思能力を確認するプロセスがあるため、後に有効性が争われにくいというメリットがあります。
⚠ 注意点:遺言作成時に、かかりつけ医の診断書やカルテなどを保存しておくと、後に遺言書の有効性が争われた際に、故人の意思能力を証明する重要な証拠となり、紛争防止に役立ちます。
✕ よくある誤解:認知症と診断された後は一切の法律行為ができないと思われがちですが、軽度であれば能力が認められるケースも多くあります。
根拠:民法第963条、判例多数(参照:e-Gov法令検索)
相続税の申告と納税の期限
遺産分割が完了したら、相続財産が一定額を超える場合には「相続税」の申告が必要となります。前もって知っておくことで、10ヶ月という期間を余裕をもって活用できます。
相続税申告の基本
基礎控除額の計算
相続税には「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」という基礎控除額があります。相続財産の合計額がこの基礎控除額以下であれば、相続税はかからず、申告も不要です。
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
| 5人 | 6,000万円 |
参照:国税庁ウェブサイト
10ヶ月以内の申告・納税
相続税の申告と納税は、故人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。この期限を過ぎると、延滞税や加算税といったペナルティが課される場合があります。
相続税の計算は非常に複雑であり、「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」など、特例を適用することで税額を大きく抑えられるケースも多いため、相続税に詳しい税理士に相談されることをお勧めします。
【関連】相続税の計算方法と節税対策についてはこちらで詳しく解説しています
納税が難しい場合の選択肢
相続税は原則として現金一括納付ですが、それが困難な場合は、一定の要件を満たせば「延納(分割払い)」や「物納(不動産などで納める)」が認められる場合があります。これらの手続きも複雑なため、税理士に相談しましょう。
相続手続きにかかる費用の目安と専門家への相談
相続手続きには、さまざまな費用がかかります。また、複雑なケースや争いがある場合は、専門家のサポートが大きな助けになります。
各種手続きの費用相場
| 手続きの種類 | 費用の目安 |
|---|---|
| 戸籍謄本取得 | 1通あたり450円程度 |
| 不動産の相続登記 | 登録免許税(固定資産評価額の0.4%)+司法書士報酬(数万円〜) |
| 残高証明書発行 | 1通あたり数百円〜数千円 |
| 弁護士報酬(遺産分割協議) | 数十万円〜(争いがある場合はさらに変動) |
| 司法書士報酬(名義変更・相続放棄) | 数万円〜 |
| 税理士報酬(相続税申告) | 遺産総額の0.5%〜1%程度が目安 |
| 鑑定費用・調査費用 | 個別に変動 |
※上記はあくまで目安であり、個別の状況によって大きく異なります。
専門家へ相談するメリット
相続手続きは、法律・税金・不動産など幅広い知識が求められる上、感情的な側面も絡みます。専門家のサポートを得ることで、スムーズかつ適切に進めることができます。
| 専門家 | 主な対応範囲 |
|---|---|
| 弁護士 | 遺産分割の争い、遺留分侵害額請求、相続放棄など法律問題全般 |
| 司法書士 | 不動産の名義変更(相続登記)、預貯金の解約、相続放棄の書類作成 |
| 税理士 | 相続税の計算・申告書作成・節税対策・税務調査対応 |
| 行政書士 | 遺産分割協議書の作成補助、相続関係図の作成など |
多くの専門家は初回無料相談を実施しています。「こんなことを相談してもいいのか」と思わず、まず気軽に連絡してみてください。あなたのために動いてくれる専門家は必ずいます。
相続手続きで押さえておきたい注意点とチェックリスト
相続手続きを進める上で、特に注意すべきポイントと、進捗を確認するためのチェックリストをご用意しました。あなたのペースで、一つずつ確認しながら進めていきましょう。
重要な期限一覧(前もって知っておくと安心です)
| 期限 | 手続きの内容 | 申請先 |
|---|---|---|
| 7日以内 | 死亡届の提出 | 市区町村役場 |
| 3ヶ月以内 | 相続放棄・限定承認の申述 | 家庭裁判所 |
| 4ヶ月以内 | 故人の所得税の準確定申告 | 税務署 |
| 10ヶ月以内 | 相続税の申告・納税 | 税務署 |
| 1年以内 | 遺留分侵害額請求(侵害を知った日から) | 相手方・家庭裁判所 |
| 3年以内 | 不動産の相続登記(2024年4月より義務化) | 法務局 |
トラブルを避けるためのポイント
相続人同士のコミュニケーション
遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。日頃からコミュニケーションを取り、お互いの意見を尊重し合う姿勢が、円満な解決への近道です。
専門家への早期相談
少しでも不安な点や疑問が生じたら、早い段階で専門家に相談されることをお勧めします。特に、相続人間に意見の対立がある場合や、借金の存在が疑われる場合は、早期の弁護士相談がトラブルの拡大を防ぎます。
相続手続きチェックリスト
できるときに、できることから。一つずつ確認しながら進めていきましょう。
- □ 死亡届の提出(故人の死亡を知った日から7日以内)
- □ 故人の遺品の整理・貴重品の確認
- □ 相続人の確定(戸籍謄本の収集)
- □ 相続財産の調査(プラス・マイナス両方)
- □ 遺言書の有無の確認(あれば家庭裁判所で検認)
- □ 相続放棄・限定承認の検討と手続き(故人の死亡を知った日から3ヶ月以内)
- □ 遺産分割協議の実施・遺産分割協議書の作成
- □ 故人の所得税の準確定申告(故人の死亡を知った日の翌日から4ヶ月以内)
- □ 相続税の申告・納税(故人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内)
- □ 各種名義変更手続き(不動産、預貯金、自動車、株式など)
- □ 生命保険金の請求
- □ 年金受給停止・健康保険/介護保険の資格喪失届など各種行政手続き
参照:厚生労働省(介護保険・健康保険に関する情報)、厚生労働省(給付・年金に関する情報)
【関連】年金・健康保険の停止手続きについてはこちらで詳しく解説しています
よくある質問(FAQ)
Q1. 忙しくて期限に間に合いそうにない場合はどうすればいいですか?
A. 相続放棄の3ヶ月の期限や、相続税申告の10ヶ月の期限は、やむを得ない事情がある場合に延長できる場合があります。相続放棄の場合は家庭裁判所に「期間伸長の申立て」を、相続税申告の場合は税務署に「申告期限延長の申請」を行います。いずれも専門家(弁護士・税理士)に相談しながら、早めに動くことが大切です。一人で抱え込まず、まず相談してみてください。
Q2. 遺産に借金があることが後から判明した場合は?
A. 故人の死亡を知ってから3ヶ月を過ぎた後に借金の存在を知った場合でも、事情によっては相続放棄が認められるケースがあります。借金の存在を知った日が起算点となる場合があるためです。ただし個別の事情によって判断が異なるため、速やかに弁護士に相談されることをお勧めします。
根拠:民法第915条、最高裁昭和59年4月27日判決(参照:e-Gov法令検索)
Q3. 相続人同士で意見がまとまらない場合はどうすれば良いですか?
A. 遺産分割協議で意見が対立し、まとまらない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることができます。調停委員が間に入って話し合いを促し、合意形成を目指します。それでも解決しない場合は「遺産分割審判」へと移行し、裁判官が判断を下します。この段階では弁護士に依頼されることをお勧めします。
Q4. 遺言書がない場合でも手続きは進められますか?
A. はい、遺言書がない場合でも、法定相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成することで、すべての相続手続きを進めることができます。ただし、相続人間に争いが生じやすいため、慎重に進めることが大切です。協議がまとまらない場合は、調停や審判という選択肢もあります。
Q5. 相続税がかかるかどうかわかりません。どうすれば?
A. 相続財産の総額が「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」の基礎控除額を超えない場合は、相続税はかからず申告も不要です。ただし、不動産の評価方法や生命保険金の非課税枠など、計算が複雑な場合も多くあります。まずは財産調査を行い、心配な場合は税理士に相談されることをお勧めします。多くの税理士が初回無料相談を行っています。
まとめ
大切な方を亡くされたばかりの時期に、多くの手続きと期限に直面することは、計り知れないご負担かと思います。このガイドでお伝えしたかったのは、「完璧にこなさなければならない」ということではありません。前もって流れを知っておくことで、焦らず、できるときに、少しずつ進めることができるということです。
相続手続きは、決して一人で抱え込む必要はありません。法律の専門家(弁護士・司法書士)、税務の専門家(税理士)、そして「お葬式.info」のような情報メディアを、いつでも頼ってください。あなたの傍らに、相談できる場所は必ずあります。
どうか、ご自身の心と体をいたわりながら、一歩一歩、前に進んでいきましょう。
主な参照・出典
- e-Gov法令検索(民法・戸籍法など):https://laws.e-gov.go.jp/
- 国税庁(相続税に関する情報):https://www.nta.go.jp/
- 法務省(不動産登記・遺言書保管制度など):https://www.moj.go.jp/
- 厚生労働省(介護保険・健康保険に関する情報):https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/
- 厚生労働省(給付・年金に関する情報):https://www.mhlw.go.jp/
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